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トクホ飲料市場、なぜ再び競争過熱?拡大するドル箱市場で各社新商品続々、新たな懸念も

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●最大手のコカ・コーラが参入

 そして今年に入ると、トクホコーラやトクホ茶のヒットは今春から激化するトクホ飲料戦争の前哨戦だったことが見えてくる。

 今年2月5日、アサヒ飲料がトクホ飲料の「食事と一緒に十六茶W」を4月15日に発売すると発表すると、同月26日には清涼飲料最大手の日本コカ・コーラが同社初のトクホ飲料「からだすこやか茶W」を4月7日に発売すると発表。飲料大手のほぼ全社がトクホ飲料市場に参入し、覇を競う構えを示している。すでに参入している伊藤園も「今年の夏までにトクホ飲料の新製品を投入の予定」(業界関係者)だという。

 こうしたトクホ飲料に最も力を入れているのが、サントリーといわれている。同社はトクホ飲料としてすでに「黒烏龍茶」「胡麻麦茶」「ペプシ スペシャル」「伊右衛門 特茶」「ボス グリーン」を販売しているが、中でも既存ヒット商品のペプシ(コーラ系飲料)、伊右衛門(茶系飲料)、ボス(コーヒー系飲料)のトクホ版飲料である「トクホ3個師団」を主力に、多面的な戦いを展開。業界内では、トクホ飲料市場のシェア(業界推定)を12年の約30%から15年中に50%へ一気に高める構えだとみられている。

●拡大するドル箱市場

 清涼飲料市場はもともと過当競争なのに加え、近年は大手流通のPB(プライベートブランド)系飲料に押され、NB(メーカー独自ブランド)系飲料は市場縮小傾向を強めている。このため、清涼飲料より単価が高く(平均40%高)、今後の成長が見込めるトクホ飲料は、飲料大手にとっては「新しいドル箱商品」(業界関係者)なのだ。

 ちなみに、日本健康・栄養食品協会の資料によれば、11年度のトクホ市場規模5175億円のうち、トクホ飲料分野は1247億円と全体の24.1%。業界関係者は「これが14年度は大手の競争効果で市場が活気づき、市場規模は対11年度比2.1倍増の2619億円に膨らむ見通し」と期待している。

 さらに、トクホ市場全体の成長に制度的な追い風が吹く気配もある。

 国は医療費抑制の観点からトクホを予防医療の一環に位置付け、15年春をめどに審査簡素化などの規制緩和の動きを進めているからだ。

 だが懸念もある。これについて業界関係者は「規制緩和により審査が甘くなると、当然トクホの名に値しない低品質品が出回り、消費者の信頼性を低下させる恐れがある。また、大手間の競争が激化すると、低価格競争が発生する恐れもある」と指摘している。

 いずれにしろ、さまざまな要因に後押しされるかたちで、トクホ市場の拡大はしばらく続きそうだ。
(文=福井晋/フリーライター)

BusinessJournal編集部

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