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劣勢の中国自動車メーカー、挽回策は海外勢からの環境技術移転?警戒感高める日本車各社

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「Thinkstock」より
 4月20日から北京モーターショー(中国)が始まり、各国から自動車関係者が現地にかけつけている。来場者数こそ日本の東京モーターショーと変わらないが、出展メーカーは2000社以上、世界主要メーカーの世界初公開車が31台と北京のほうが圧倒的に多い。いまや、中国は米国を抜いて年間販売台数が2000万台を超え、世界最大になった。しかし、その舞台裏では日本などが得意とする自動車の環境技術が、中国側に流出するといった危機に直面している。

 事の発端は、中国政府がこれまでやってきた海外メーカーに対する規制だ。海外メーカーが中国で生産と販売をする場合、中国自動車メーカーと合弁企業を立ち上げ、出資を折半する必要がある。政府の狙いは中国メーカーを保護すると同時に、先進国メーカーに中国メーカーへの技術移転を促すこと。

 出資が折半であれば当然、利益も折半する。トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業(ホンダ)、フォルクスワーゲン(VW)、ゼネラルモーターズ(GM)などが手を組んだ相手は、上海汽車、第一汽車、東風汽車という三大国営メーカー。例えば、販売台数でトヨタと世界一を競うVWは昨年の世界販売台数(970万台)の3分の1を中国で売り上げているが、合弁相手の中国メーカーは、濡れ手に粟のごとくその利益の半分を受け取る。

 こうした構図に異議を示したのが、自力で奮闘する中国の民間メーカーだ。吉利汽車(ジーリー)は破綻したボルボを傘下に収めるほどの大手民間メーカー。その李会長は、雑誌のインタビューで「(黙っていても利益の半分を手にするのは)アヘン中毒みたいなものだ」(「Automotive News China」より)と国営メーカーを批判したが、同様の声は中国国内でも少数意見ではない。李会長同様に、これまで国営メーカーを甘やかしてきた政府の政策は失敗だったという見方をする人が少なくなく、国営メーカーに競争力がつかず自立できない最大の原因だといわれている。

 このような声を受けてか、工業情報化部(日本の経済産業省に相当)は2月、海外メーカーに対する前述の50%出資規制を緩和する意向を示し、関係各部と調整をしていることを明らかにした。この流れは、習近平国家主席が掲げる「さらなる経済開放」と一致する路線でもある。

 これに慌てたのが国営メーカーだ。50%出資規制を緩和あるいは撤廃したら、海外メーカーに対して競争力のない国営メーカーは自滅するしかない、と反論。3月9日の全国人民代表大会(日本の国会に相当)以降、工業情報化部はそれまでの主張をひるがえし、中国の自動車産業はいまだに生育期で「保護」されなければならないと手のひらを返した。この方針自体、それまでの政府の自動車政策が失敗だったと認めたようなものだ。

●頼みの綱は海外勢の環境技術?

 それ以外にも中国が直面する深刻な問題があった。中国ブランド車の市場シェア低下が止まらず、世界最大の自動車市場が海外メーカーの草刈り場と化した。そこにPM2.5に象徴される深刻な大気汚染が追い打ちをかけ、政治問題化するのを恐れた政府は、一転して国営メーカーを擁護する側に転じ、日本などのエコカー技術に頼ることにした。中国政府は、日本のJRなどの技術支援で立ち上げた高速鉄道を、「中国の独自開発」として世界に売り込んでいるのと同じパターンを狙っているのではないか。中国政府は自国メーカーの育成をあきらめたわけではない。実際に工業情報化部トップの苗部長は、今回の方向転換の際に「(国営メーカーは)単に規模が大きいだけではなく、強くなくてはいけない。超大国だからといって、いつも(海外勢に)追いつけるわけでもない。中国はその方法を探らなければならない」と語っている。