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ソフトバンク、窮地の米国進出で注目集める“次の一手” 米政府の反対と競合台頭の誤算

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 ヤフーは3月27日、携帯電話通信会社のイー・アクセスを親会社のソフトバンクから買収、携帯電話事業に参入すると発表した。

 イー・アクセスは6月1日にPHS大手のウィルコムと合併する。その翌日にヤフーはこの合併会社をソフトバンクから3240億円で買収、合併会社の社名はワイモバイルとする予定。ヤフーの宮坂学社長は「ネットサービスを中心とした通信事業を展開するのが買収の目的」と説明している。

 合併会社が提供するサービスや料金は未定だが、通信事業を通じて「Yahoo!プレミアム」などの有料ネットサービスの新規会員獲得を狙うとともに、ネットサービスと通信サービスの組み合わせによってネット広告事業やEC(電子商取引)事業の拡大を図る考えだ。

 ヤフーとイー・アクセスは共にソフトバンクの事業子会社。通信業界では「ソフトバンク内の子会社の組み替え」と見る向きもある。だが、米国のアマゾンやグーグルは端末販売事業や通信事業の拡大によりネットサービス事業を強化しており、株式市場では「ヤフーのイー・アクセス買収は、これら米ネットサービス会社の事業モデル導入による新しい成長戦略」と評価する向きが多い。

 その一方で、市場の一部では「これはソフトバンクが軍資金を集めるための取り組みの一環だ」との声も上がっている。

●米国事業の資金集めに腐心

 3月27日の記者発表会に出席していた証券アナリストの一人は「買収に関する一連の説明を聞き終わった瞬間、ソフトバンクがついに奥の手を出してきた」と直感したと言う。「奥の手」とは、ソフトバンクが豊富な資金を持つヤフーをATM代わりに使おうとしているというもの。

 それは、資金の流れが根拠になっている。

 今回の買収に当たり、ソフトバンクはこれまでイー・アクセスに融資していた約1300億円を一括回収する。このためヤフーは、自己資金の乏しいイー・アクセスに運転資金を含め約1700億円を融資する。

 つまり、資金の流れを追うと、イー・アクセスの買収額3240億円と融資額約1300億円の約4540億円が、ヤフーからソフトバンクに流れることになる。宮坂社長が「ヤフー史上、最大規模のM&A(買収・合併)」と述べているゆえんだ。

 では、子会社同士のM&Aという手法を使って、ソフトバンクがこれだけの資金を集める目的はどこにあるのだろうか?

 事業会社のヤフーの資金が持株会社のソフトバンクに流れたところで、連結で9兆2200億円(13年12月末)に達する有利子負債は減らないので、ソフトバンクの財務体質改善には寄与しない。前出アナリストが指摘するのは、ソフトバンクが昨年から米国で進めている買収工作だ。

 ソフトバンクは昨年7月に買収した米携帯電話業界第3位のスプリント・ネクステル(以下、スプリント)に続き、同4位のTモバイルUS(以下、Tモバイル)の買収工作を進めている。「2兆円以上の資金が必要」(携帯電話業界関係者)と言われるTモバイルの買収に向けて「ソフトバンクは資金集めに知恵を絞っている。同社が筆頭株主(約37%出資)になっている中国EC大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)の米国上場を考え合わせれば、そう見るのが本筋だろう」(前出アナリスト)というわけだ。

 では、ソフトバンクは、なぜTモバイルの買収に血眼になっているのか。