NEW

ソフトバンク、なぜ「成長限界説」広がる?巨額買収の米社不振と、財務体質の悪化

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ソフトバンク本社が所在する東京汐留ビルディング(「Wikipedia」より/Jo)
 ソフトバンクの好業績が止まらない。

 直近の2014年3月期第3四半期(13年4-12月)連結決算は、売上高が前年同期比94.4%増の4兆5617億円、営業利益が同46.3%増の9242億円、最終利益が同58.1%増の4882億円。これで同社が長年の目標としてきた「営業利益1兆円達成」が、14年3月期通期で確実となった。

 それにも関わらず最近、株式市場関係者の間で「ソフトバンク成長限界説」が強まっている。その根拠になっているのが、昨年7月に買収した米スプリントの事業の先行き不透明感だ。

 ソフトバンクが2月12日に開催した14年3月期第3四半期決算説明会の中で、孫正義社長は「株式を上場して20年。振り返ると昨日のような気がするし、随分遠くまで来たものだとの思いもする」と、94年の上場当時を懐かしみながら、この20年間に売上高が100倍、営業利益が300倍、時価総額が50倍に拡大した成果を満足げに披露。そして業績については「まだまだだ。これから本気で伸ばしてゆく」と強調した。

 だが、足元では好調なはずの国内事業が、減速の兆しを見せている。

 昨年1年間で見ると、同社の契約件数の純増は344万件で、KDDI(au)の280万件、NTTドコモの119万件を大きく引き離した。ところが、昨年10-12月に限ると、同社の契約件数の純増は69万2000件で、前年同期の86万1000件から19.6%も減少している。また、14年3月期第3四半期決算の営業利益も、9242億円のうち携帯通信事業の営業利益は前年同期比22.7%増の5146億円。一見好調だが、これはガンホー、ウィルコム、イー・アクセスなど買収企業の営業利益を新規連結した結果に過ぎない。これら買収分を除いた既存ベースでは9%増程度にとどまる。「業績拡大の原動力になってきたスマホの息切れが原因」(証券アナリスト)といわれている。

 昨年9月にNTTドコモが米アップルのスマートフォン(スマホ)・iPhone販売に参入した影響で、同年10-12月のソフトバンクのiPhone販売台数は69万台となり、前年同期比86万台を大幅に下回った。市場関係者の間では「今年からはスマホ拡販による従来の成長戦略は通用しないだろう」との見方が有力だ。

 それにもまして深刻なのが、米スプリント事業の先行きだ。前出アナリストは「結局スプリント事業は軌道に乗せられず、巨額の借金だけが残る最悪事態を想定せざるを得ない」との見方を示す。

●苦戦続きのスプリント

 スプリントは95年に中堅携帯電話会社のセンテル買収により通信事業に参入、3G(第3世代携帯電話)の全米サービス展開で通信キャリア大手に成長した。ところが、00年前後に起きた米国の第2次通信業界再編で、ベライゾン・ワイヤレス(以下、ベライゾン)とシンギュラー・ワイヤレス(後のAT&Tモビリティ)が米国市場の1位と2位に台頭、携帯電話の新規契約者獲得競争が激化した。この中で両社は携帯データ通信サービスの充実や通信エリアの拡大などに活発な先行投資を続け、当時3位のスプリントと4位のネクステル・コミュニケーションズとの差を広げていった。