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住友ゴム・米社の提携解消交渉から透ける、タイヤ世界市場の構造変化と、高まる再編機運

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「Thinkstock」より
 世界3位のタイヤメーカー、米グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーは、国内2位で世界5位の住友ゴム工業に対して資本・業務提携の解消を申し入れるとともに、国際商業会議所に提携解消に向けた仲裁を申し立てた。グッドイヤーが提携解消を申し入れたのは「(住友ゴムが)反トラスト法に違反する反競争的な行為を行っていた」ことが理由だと説明している。ただ、具体的に住友ゴムがどのような行為を行ったのかについては明らかにされていない。

 これを受け住友ゴムは声明で、「グッドイヤーと当社に見解の相違がある」とし、「極めて遺憾で到底看過することはできない」と反論。都内で会見した住友ゴムの池田育嗣社長は「グッドイヤーが強く望むのであれば、解消交渉に応じる用意はある」と述べた。

 両社は1999年、日米欧のタイヤ事業で提携。グッドイヤーは住友ゴムに1.3%出資した。欧米は「グッドイヤー」、日本は「ダンロップ」とブランドの棲み分けを図ることでブリヂストン、仏ミシュランに対抗することを決めた。日本では住友ゴム75%、グッドイヤー25%出資の合弁会社が、北米と欧州ではグッドイヤー75%、住友ゴム25%の合弁会社が運営に当たっている。

 現在の提携契約について住友ゴムは、双方の合意がなくても提携を解消する権利を持つ。一方、グッドイヤーにはその権利がなく、提携を解消するには国際商業会議所に仲裁を申し立てるしか方法はない。住友ゴムが提携を解消した場合には、日本のダンロップ事業を住友ゴムが買い取り、欧米のダンロップ事業と日本のグッドイヤー事業はグッドイヤー側が買い取ることになっている。

 両社は今後、提携解消に向け、欧米や日本市場での両ブランドの取り扱いについて詳細を詰めることになる。池田氏は「交渉は数年がかりになる」としており、10年以上にわたった両社の関係に終止符が打たれる可能性が高まっている。

●タイヤの主戦場は新興国

 両社の提携解消の背景には、タイヤの市場構造の変化がある。タイヤ市場は基本的に自動車産業に連動しており、成長の中心は先進国から新興国に移行した。日本や欧米の市場が低迷する一方、自動車保有台数が伸びているアジア・中南米の新興国市場は拡大している。

 提携当時、住友ゴムの海外市場開拓は進んでいなかったが、現在は新興国を中心に各地に進出。提携範囲外の新興国で、グッドイヤーと住友ゴムは競合するようになった。住友ゴムは「ダンロップ」ブランドを使えない地域では独自ブランド「ファルケン」を投入して、グッドイヤーと戦うケースが増えている。

 住友ゴムは昨年、アフリカに本格進出した。インドのタイヤメーカー、アポロタイヤから子会社のアポロタイヤ南アフリカを買収した。買収額は60億円で、「ダンロップ」ブランドのタイヤの製造販売権と販売網のほか、現地のレディスミス工場を取得した。住友ゴムはすでにアフリカ20カ国で「ダンロップ」の商標権を持っているが、今回の買収により現地生産に乗り出すとともに、アフリカ全土でダンロップタイヤ事業を展開できるようになる。