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イオン、積極出店が呼ぶ地方商業圏の地殻変動と、グローカル経営で狙う地方との共存共栄

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 一部メディアは、この家訓を揶揄して、巨大なショッピングモールをつくっても、儲からなくなればすぐに撤退するのか、それでは企業としての社会的責任を果たしていないではないか、と指摘する。

 イオンモールが進出した地方都市では、完全にインフラとして定着している。ショッピングだけでなく、生活のさまざまな面でイオングループの便益を受ける「イオニスト」が増殖中。これほどまで地域に定着してしまえば、たしかに撤退されると地域住民は困る。だからこそ、イオンモールには持続的成長が求められる。イオンもそうありたいと考えている。

 しかし、イオンも盤石ではない。イオンモールの約70%は、25年までに人口が5%以上減る地域に立地しており、そうした地域は高齢化も著しい。

 いつの世でも、永遠に同じ形の商売が続くわけがない。長くても20~30年といわれる商業施設のライフサイクルを考えれば、いずれ、このインフラの大黒柱を動かさざるを得ないだろう。だが、その大黒柱をどう動かすかが肝心である。それは、撤退という形でなくなっているかもしれない。例えば、今、ファミリー主体のニュータウンでさえ、20~30年後には、高齢者中心のオールドタウンと化す。しかし、その頃には自動車の自動運転が普及していることだろうし、それを利用して、むしろ、歳をとると刺激を求めて、ショッピングモールへ出かけるようになると予測される。イオンモールは広すぎて歩くのに疲れるという高齢者に対しては、売り場と自宅、もしくは休憩スペースをネットで結び、ショッピングを中継するようなサービスも考えられる。

 技術にせよ、サービスにせよ、新しいものが出現すると、とかく負の局面に目が行きがちである。「イオン栄えて、街滅びる」という見方もその一つだろう。そうではなく、正の局面に注目し、「イオン栄えて、街も栄える」という構図を前提に、すべての関係者が「共創」することにより、日本の流通、そして社会が生まれ変わるのではないだろうか。
(文=長田貴仁)

BusinessJournal編集部

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