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安部徹也「MBA的ビジネス実践塾」第8回

iPhone5億台販売を実現したアップルのカテゴリー創出戦略:生産・流通モデルの変革

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米アップル本社(「Wikipedia」より/Joe Ravi)
 メガバンク勤務後、アメリカのビジネススクールでMBAを取得し、今では幅広い企業の戦略立案やマネジメント教育に携わる安部徹也氏が、数多くのビジネス経験やMBA理論に裏打ちされた視点から企業戦略の核心に迫ります。

 グローバルレベルで競争が激化している現代では、競争に勝ち抜き大きな成功を収めることがいかに困難を極めるかは、ビジネスパーソンであれば誰しもが感じていることでしょう。

 そのような中、最近「カテゴリークリエーション」という手法が注目を浴びています。この手法は、率先して新たなカテゴリーを生み出して、市場を自らつくり出し、大きな成功を収めるための戦略です。一企業にとって、新たなカテゴリーを創出することは確かに難しいですが、一旦新たなカテゴリーを生み出すことができれば、事業に大きなインパクトを与えます。

 例えば、世界最大のビジネス誌である「フォーチュン」で発表されたデータによると、「最も急成長しているアメリカ企業 100社」の中で、カテゴリークリエーションで成功を収めた企業はわずか 13%にすぎません。ところが、売上高の伸びを見ると、そのわずか13%の企業が100社全体の伸びの53% を占めるなど、数字の上からもカテゴリークリエーションのインパクトの大きさがわかります。

 それでは、このカテゴリークリエーションに対して、企業はどのように取り組めばいいのでしょうか?

 カテゴリークリエーションは、2つのレベルで実現されることになります。1つは製品レベルで、これまでになかったカテゴリーの新製品を生み出していくことです。そして、もう1つはビジネスモデルレベルです。ビジネスモデルのカテゴリークリエーションは、製品レベルよりも実現への難易度は格段に高くなりますが、このレベルで成功すれば、ビジネスに与えるインパクトは製品レベルとは比べものにならないくらいに大きなものになります。

 ここでは米アップルの事例を紹介しながら、カテゴリークリエーションの成功例をお伝えしていくことにしましょう。

●iPhoneという新たなカテゴリー

 アップルのiPhone は、カテゴリークリエーションによって生み出された製品といえます。スマートフォン(スマホ)というカテゴリーはすでに存在していますが、iPhoneはスマホというカテゴリーを超え、「iPhone」という1つのカテゴリーを創出したといっても過言ではないからです。実のところ、iPhoneが世に生み出されるまでにはアップル社内で創業者でCEO(当時)のスティーブ・ジョブズ氏をリーダーにした小規模なプロジェクト「パープル」が極秘裏に進められ、数々の障害を乗り越えていかなければなりませんでした。その後、このアップルの苦労は報われ、iPhoneが新たなカテゴリーを生み出すと、わずか6年で全世界で5億台を販売するという驚異的な売り上げを記録するまでに至ったのです。

 このiPhoneの新たなカテゴリーの創出には、次の3つの製品要素が大きな役割を果たしています。