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東芝、異例人事がなぜ波紋?西田会長退任で再燃する経営陣の対立と、西田院政の確立

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東芝、異例人事がなぜ波紋?西田会長退任で再燃する経営陣の対立と、西田院政の確立の画像1東芝本社が所在する東芝ビルディング
(「Wikipedia」より)
 5月8日、東芝は西田厚聰会長が6月25日付で相談役に退くと発表した。一見、9年間にわたり東芝のトップとして同社の経営に大きな影響力を及ぼしてきた実力者の引退に見えるが、後任の会長人事が早くも物議を醸している。

 西田氏の会長退任は、東芝の内規(会長定年70歳)によるものだが、後任の会長には室町正志取締役が昇格し、その一方で佐々木則夫副会長は留任。社長の経験がない室町氏が、佐々木氏を飛び越えるかたちで会長に就く“異例人事”となる。室町氏は西田氏同様、取締役会議長と取締役候補などを決める指名委員会委員を兼任することになるが、「西田会長と佐々木副会長の対立が再燃」と東芝周辺が慌ただしくなっている。

 西田氏と佐々木氏の対立が表面化したのは昨年春。西田氏は、当時社長だった佐々木氏を新設した副会長に棚上げし、新社長に田中久雄副社長を昇格させたが、その人事を発表した昨年2月26日の会見は異様だった。

 西田氏は社長の条件として「さまざまな事業部門を経験していることと、グローバルな経験を持っている」ことを挙げ、「1つの事業しかやってこなかった人が東芝全体を見られるのか」と発言し、原子力畑一筋で海外経験が少ない佐々木氏を公然と批判。これを受け佐々木氏は「業績を回復し、成長軌道に乗せる役割は果たした。ちゃんと数字を出しており、文句を言われる筋合いはない」と反論し、公の場で会長と社長が批判し合うかたちとなった。

 両者の対立はさらにエスカレートし、西田氏は「週刊現代」(講談社/13年6月1日号)の記事で佐々木氏との確執を公然と認め、次のように社長在任中の佐々木氏を批判した。

「固定費削減ばかりに集中し、将来の成長に向けた経営を怠った」
「苦手な海外の顧客や機関投資家へのトップセールスにも行かず、社内で会議ばかりしていた」
「実績を残したというのなら、ライバルの日立と拮抗するくらいの業績を出していないといけないが、日立には負けている」

 さらに、記事内で西田氏は、12年6月の株主総会後に佐々木氏に「来年は代わってもらうよ」と社長退任を促したが、佐々木氏は「あと1年やりたい」と13年6月の退任を主張した、と内幕を明かし、同社内には波紋が広がった。

●西田院政への布石

 今後、佐々木氏が反撃に出る可能性は低いといわれている。佐々木氏が社長を務めていた03年、東芝は委員会設置会社に移行し、社外取締役2人と会長の西田氏の3人で構成される指名委員会で役員人事を決める体制になった。つまり、佐々木氏に役員の人事権はない。そして昨年、指名委員会が複数候補者の中から田中氏を次期社長に選んだ時、今年の人事の布石となる重要な人事を決めていた。指名委員会は昨年5月8日、常任顧問の室町正氏を6月下旬の株主総会後に取締役に復帰させる人事を決めた。室町氏は12年まで東芝の副社長を務めていた。一度退任したOBが取締役に復帰するのは、東芝にとって初めてのケースだったが、室町氏は西田氏が社長当時、右腕といわれていた人物だ。

 室町氏は早稲田大学理工学部電気通信学科修士課程を修了し、1975年4月に東京芝浦電気(現・東芝)に入社した半導体部門のエキスパートだ。西田氏が半導体と原子力発電事業を東芝の二枚看板に据える経営方針を示した際には、半導体部門のトップを務めた。

BusinessJournal編集部

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