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【動画あり】東山堂の地方限定CM、なぜ全国的ヒット?採算度外視の質重視で、大きな効果

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・文=新井庸志/株式会社ホワイトナイト代表、マーケティングコンサルタント

 岩手県盛岡市の株式会社東山堂が運営する音楽教室のテレビCM。その感動の内容は、盛岡だけでなく全国ネットのテレビ番組でも紹介され、話題となった。今回は東山堂担当者に聞いた、このCMが生まれた舞台裏に関する話も踏まえて、「ヒットの法則」について考えてみたい。

【東山堂CM「披露宴」篇フルバージョン(無料動画共有サイト「YouTube」より)】

●CMを制作・放送しようとしたきっかけ

 地方のテレビ局では、地元企業のCMが放映されていることが多く、東京や大阪などとは異なり、内容だけでなくクオリティにもローカル色が色濃く出ていることも多い。

 全国的に放送されるCMに限らず、企業にとってCMを制作することは大きな負担だ。また、誰もが知っている大手企業以上に、地方企業のほうがそのハードルは高い。費用的なハードルだけでなく、CM実施の必然性を社内に説得することからスタートしなければならないからだ。

 感動CMを制作した東山堂は、なぜ今回、このタイミングでCMを制作し、そして、なぜ全国的に話題になったのだろうか。

●市場環境変化への対応

 東山堂は創業から109年続く老舗企業だ。書店から始まり、楽器店、音楽教室へと事業を拡大していった。音楽教室の生徒数はバブル最盛期には約3000人にまでなったが、その後、バブルが崩壊。教室出店を盛岡だけでなく釜石や他のエリアにまで拡大しリカバリーを図ったが、生徒数は2000人程度にまで減少した。

 生徒数減少はバブル崩壊だけが原因ではなく、少子高齢化も大きな要因の1つだった。生徒数減少に歯止めをかけ、音楽教室事業を向上させることが、東山堂にとって年々重要な経営課題となったのだ。

●ターゲット変化への対応

 東山堂が状況を打開するために考えたことは、「ターゲットの変更」だ。音楽教室の従来のターゲットであった子どもから大人へターゲットを変更した。子ども需要を捨てたわけではなく、大人というターゲットを追加した。