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残業代ゼロルールは、ゆとり教育?“世界唯一の尺度”お金を悪とみる日本の不思議

構成=大川内麻里
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●日本企業から見ると摩訶不思議な「外資の裏」

――外資系企業がリゾート地で会議を開いたり、高級ホテルでパーティーをしたりするのには、理由があるそうですね。

岡村 コスト管理の厳しい外資系企業で、なぜそんなことにお金を使うのか、と疑問に思われるかもしれません。日本は終身雇用が基本で、顔も性格も見知った人たちが物事を回します。一方、外資系企業では転職もあるし、世界的企業グループでは時には50カ国もの人たちが集まるので、お互いを知りません。それをひとつにするのに効果的なのが、素敵な場所で、素敵な時間を共有したという思い出なんです。社員の家族も招待しますが、決して無駄な金ではないのです。ぜいたくでも華美でもない。多様な価値観をまとめるための工夫なんです。

 ただ、日本企業には必要のないことかもしれません。お互いを見知っているわけですから、だからこそ外資とはまた違った工夫が求められるのではないかと思います。

●営業担当も外資では高評価

――お付き合い重視型の営業担当は、日本では低スキルだと思われがちですが、海外では高評価が得られるそうですね。

岡村 はい。優れた営業担当は、どの海外企業も採用したいと考えます。ただし、ひとつだけ前提条件があります。そのお付き合いが、会社組織を離れた途端に切れてしまうような人ではダメです。営業スキルの高い人は、飲みながら必ず相手に何かを渡すんですよ。単純に高い店を選ぶというわけではなく、安くても面白い店を選んだり、組織を超えた工夫や配慮がある。相手は「時間を使ってくれたんだな」と、うれしく思いますよね。

――お土産というのは、なにもモノを持っていくということではなく、例えば企画やアイディアであったり、「こんな面白い人がいるので紹介しますよ」といったものでもよいのでしょうか?

岡村 大変なことでもありますから、それができるというのはすごいですよね。そのために労力をかけているというのは、相手には伝わりますから。何度も同じ相手と飲みに行くというのは、何か気持ちがなければしませんよね。

――付き合い型の人が増えていかないのは、仕事において「個」を出してはいけないという意識があるからでしょうか?

岡村 個人がリスクをとっていないのだと思います。私は個人対個人のお付き合いを大事に考えたいのです。かつて若手社員だった頃は、もちろんお金はありませんでしたが、好きな人や面白い人には自腹でごちそうしてでも付き合ったものです。もっと一緒にいたい、話を聞きたいから。また、時には相手がおごり返してくれることもある。そうして関係が深まっていくのです。

 小さくても、工夫はいくらでもできます。ちょっとしたお茶セットを外国人に贈るなんてことでいい。今振り返ると「あんな偉い人に、よく安物を贈ったものだな」と思うけれど、喜んでもらえる。

――会社の経費で支払える以上のことはしない、という組織人はたくさんいます。

岡村 損得計算がうまくないと感じますね。まずそれで個人として偉くなれるか? 個人が偉くなっていても、乗っている船自体が沈んでいないか? 個と個で付き合わずに、そもそも幸せか? その関係を30年後も維持できているか? 何をもとに損得計算をするかだと思います。

――私は会社組織にいた頃、社外の方とのお付き合いにおいて、「○○社の大川内麻里」の中に、2%だけ素の個人の「大川内麻里」を入れることを意識していました。もちろん、そこには身銭も切っています。

岡村 2%どころか、もっと入っている気がしますが(笑)。それ自体がグローバルな発想だと思いますね。グローバル化というのは、工夫や努力、したいことをすること、自分を抑えつけないことです。だから苦しいことではない。やりたいことをやる、楽しいことなのです。

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