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痩せ細るケンウッド、売り上げ6割減、なぜ悲観論広がる?戦略なきリストラの代償

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JVCケンウッド本社(「Wikipedia」より/Rikuo240)
 カーエレクトロニクス大手・JVCケンウッドの業容縮小が止まらない。同社が4月30日に発表した2014年3月期決算は、売上高が前期比3.2%増の3163億円だったものの、営業利益は同54.2%減の44億円、最終利益は66億円の赤字となった。営業利益は主力のカーエレクトロニクス(以下、カーエレ)部門をはじめ、全部門が減益になった。特にカーナビ事業が大変を占めるカーエレ部門は、円安による原価上昇などの影響で、カーナビの市販・OEM事業とも14年度上半期に16億円の大幅赤字となった。光学・オーディオ部門などの国内事業も、同期は7億円の赤字を計上するなど不調だった。

 この大幅減益を深刻に受け止めた同社は「事業基盤の再構築が緊急課題」とし、5月14日付で組織変更と経営体制刷新を行った。組織変更では事業部制を廃止。事業部の上位組織に位置付けていたカーエレ、プロフェッショナルシステム、光学・オーディオ、ソフト・エンターテインメントの 4事業部門に組織を集約した。同社はこれにより「商品主導(プロダクトアウト)型の事業運営を市場主導(マーケットイン)型運営に変える」という。これに伴い、日本、北米、欧州、アジア・新興国の4地域に「地域 CEO(最高経営責任者)」を新設、各地域CEOが管轄地域の業績責任を負うことになった。

 経営体制刷新では会長兼CEOの河原春郎氏が留任する一方、社長兼COO(最高執行責任者)だった江口祥一郎氏が新設の欧州CEOに転任、社外取締役を務めていた辻孝夫氏が新しい社長兼COOに就任した。

 組織変更、経営体制刷新と、一見抜本的に見える同社の業績回復策について、証券アナリストは「業績回復策の旗振り役が相変わらず河原会長では何も変わらない。業容縮小は来期も続くだろう」と悲観的だ。

 同社は08年10月、旧日本ビクターと旧ケンウッドの経営統合で生まれたが、統合直前にリーマンショックが発生。そのダメージから回復するため国内外の生産拠点閉鎖、希望退職者募集などのリストラを進めたが、AV(音響・映像)機器事業の不振もあり、営業赤字が続いた。しかし、経営資源をカーナビなど車載機器事業へ集中するなどの収益改善策で、12年3月期に統合後初の最終黒字を達成。13年3月期も減収減益ながら最終黒字は確保したが、今回の決算で再び赤字に転落した。

 この間、統合直前には両社合わせて8237億円あった売上高は14年3月に3163億円に縮小、6年間で業容が38%に縮まったかたちだ。「両社の強みを合わせた相乗効果でさらに成長」(発表時の声明)するはずの経営統合が、真逆の結果となったが、その背景を探ると、リストラ頼みで業績回復を模索してきた同社の「戦略なきリストラ」が見え隠れする。

●急速に痩せ細る経営資源

 統合前の旧ビクターは業績不振に喘ぎ、身売り話が浮かんでは消えていた。そして、紆余曲折を経て旧ケンウッドと経営統合することになった。この時(08年3月期)の売上高は旧ビクターが6584億円、旧ケンウッドが1653億円だったため、「小が大を呑み込む」と騒がれたが、旧ケンウッド社長(当時)の河原会長の決断だった。