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坂口孝則「ダマされないための“儲けのカラクリ”」 第29回

ドレッシング、なぜ幅広い層でブーム?拡大する市場規模、新たなダイエットも

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味の素の粉ドレッシング「トスサラ」(「同社HP」より)

ドレッシングダイエット宣言

 社会人になってしばらく経ったころ。スーパーで5キログラムのお米を定期的に持ちあげなさい、と先輩からアドバイスされた。買いなさい、ではない。持ちあげなさい、だった。

 5キログロムのお米は相当な重みがある。ただし、加齢とともに増えていく脂肪の重みは感じない。30歳を前に、学生時代から5キログラム、人によっては10キログラムほど太ることは珍しくない。でも、脂肪はその米袋ほど重いのだ。私は恐懼し、学生時代からアラフォーと呼ばれる現在にいたるまで体重は変化していない。私はこれを「恐怖のお米ダイエット」と名づけたいと思う。

 最近のダイエット関連のヒットといえば、ドレッシングだ。もちろん、野菜にかける、あれである。私のまわりの女性たちは「ドレッシングがキテる」といい、多くの女性誌もドレッシングを取り上げている。

 流行についていけなくなるのは、おじさんの特徴かもしれないけれど、初めて聞いたとき、「流行るとか、流行らないとかじゃないだろ。野菜を食べるときにいつも使うだろ」と思った。しかし女性たちはやはり本気で、しかもたしかにドレッシングは「キテる」ようだ。

 ある人は「ジョセフィーヌ」なるドレッシングだけでビールが飲めると豪語し、ある人は「イル・キャンティ」なるドレッシングを使えば野菜と心中できるといった。クックパッドにはドレッシングのレシピが溢れ、ドレッシング本が数々出版されている。美味しく、食材を楽しめ、ラクに楽しくダイエットができる--。とにかく、ドレッシング狂想曲なる騒ぎが、おじさんたちの知らないところで広がっている。

●拡大するドレッシングの市場規模

 ドレッシングの効用を語る前に、まずドレッシングの市場をみてみよう。ドレッシングは、他の基礎的な調味料が横ばい、あるいは減少している中で出荷額を増やし続けている稀有な存在だ。例えば10年前の2004年には815億円程度だったものが、14年には900億円を超えるとみられる。さまざまな統計条件があるものの、ここでは出荷ベースを採用した。砂糖、塩、味噌、醤油にくらべて伸びが目立つ。あえて和風調味料の代表格である味噌を取り上げる、同じく04年に1109億円だったものが、14年には1000億円を割るとみられる。

 特にスーパーではドレッシングの売り場を拡大し、主婦層へ訴求しようとしている。ノンオイルドレッシングを主役に据え、各社とも売り場の展開に抜かりない。平均的な家庭の冷蔵庫にはドレッシングが2、3本あるといわれており、それを梃子にさまざまな料理を提案しながら客単価を引き上げようとしているのだ。

 ドレッシングブームのきっかけについては諸説あるものの、理研ビタミン株式会社の各ドレッシングがメディアに取り上げられたことが大きい。「リケンのノンオイルシリーズ」はフレーズとしても有名だし、私のようなおじさんでも聞いたことはあるだろう。特にドレッシングはテレビなどのメディアに取り上げられるとよく売れ、テレビCMの効果が大きいといわれる。もちろんダイエット関連商品ということもあるが、テレビを見ている層とスーパーで買い物する主婦層が一致しているからだ。