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性同一性障害の「絶望的な苦しみ」 同性愛や精神疾患と無関係、本人の努力で治癒できず

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 では、ここで問題です。

設問:性器の形成開始時に、性染色体の読み間違いが起きたり、あるいは、性ホルモンの分泌量が多かったり少なかったりしたら、一体何が起こるでしょうか?

答え:男性の体形を有しながら「女性脳」を有する、または女性の体形を有しながら「男性脳」を有する赤ちゃんが誕生する。それは、「セックス」と「ジェンダー」の不一致が、生まれた時に確定的に決まっている赤ちゃんです。

「そんなの、どうしようもないじゃないか」と、私は思わず叫んでしまいました。

 この性決定メカニズムの不安定さを見る限りにおいて、「性同一性障害を伴って生まれてくる人はマイノリティ(少数派)である」のではなく、「性同一性障害を起こすことなく、生まれてくることができた『運のいい人』が、たまたまマジョリティ(多数派)である」という言い方が正しいように思えます。

●性同一性障害に対する誤解

 さてここで、性同一性障害に対する、世間の最大級の誤解を3つ、ご紹介したいと思います。

(1)「同性愛」とは、まったく関係ありません

 性同一性障害とは、単に「生物学的」な「性」と「自己意識」の「性」が一致していないという「状態」をいい、それがとてつもないレベルの苦しみ(24時間365日)を伴うので、便宜的に「障害」と呼ばれるものです。そこに「恋愛」が介在する余地はありません。

 ただし、あえて「恋愛」の場面を想定してみると、例えば、「女性脳」の人が、 男性を恋愛の対象とすると、(a)生物学的な性としては同性愛といえるが、(b)自己意識の性としては異性愛といえる、という状況が発生することになります。

(2)「発達障害」や「精神疾患」とも、まったく関係はありません

 自閉症や知的障害等があるわけではありませんし、脳(脳細胞あるいは「心」)の機能的・器質的な障害(統合失調症、躁うつ病、パニック障害、適応障害等)があるわけでもありません。

(3)「性同一性障害」とは、「生物学的な性と、自己認識の性が一致しないことで、苦しみを伴う疾患」であり、それ以上でも、それ以下でもありません。

 では最後に、この冒頭の質問の主客を入れ替えて、もう一度あなたにお伺いしたいと思います。

「あなたが治療方法のない疾病にかかっており、その激痛に耐えかねて床の上で転がり回って苦しんでいる時に、誰かから『それは治療する手段がありません』『死ぬまで我慢してください』と言われたら、あなたならどうしますか?」

 では、今回の内容をまとめます。

(1)性同一性障害とは、「生物学的な性と、自己認識の性が一致しない」「絶望的な苦しみを伴う」疾患である。

(2)その発生原因は、性を決定する生物学的機能の不安定さにあり、不安定なまま誕生し、本人の資質や努力では治癒できない。「同性愛」や「精神疾患」等とも一切関係がない。

次回は、性同一性障害で苦しんでいる人に対する、現状の社会の対応(医療、法律など)についてお話ししたいと思います。
(文=江端智一)

※なお、図、表、グラフを含んだ完全版は、こちら(http://biz-journal.jp/2014/06/post_5245.html)から、ご覧いただけます。
※本記事へのコメントは、筆者・江端氏HP上の専用コーナー(http://www.kobore.net/gid.html)へお寄せください。

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