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好調のJR九州、上場計画の目玉に暗雲?鉄道事業の赤字、基金頼み経営から脱却なるか

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寝台列車「ななつ星in九州」(「Wikipedia」より/Rsa)
 九州旅客鉄道(JR九州)の九州一周豪華寝台列車「ななつ星in九州」が、予想を超える人気を集めている。第4期(8~11月)の予約申し込みの平均倍率は37倍にも上り、最高倍率は最も高い「デラックススイートA」(140万円)の3泊4日コース(8月26日出発分)で195倍だった。これまでの、平均7~9倍、最高倍率97倍を大きく上回った。

 JR九州に先を越された東日本旅客鉄道(JR東日本)は、豪華寝台列車の運行を2017年春に始め、西日本旅客鉄道(JR西日本)も同列車を同年春から運行する。各社とも団塊世代や日本を訪れる外国人観光客をターゲットにしている。

 13年10月15日に「ななつ星」を走らせた立役者の唐池恒二氏が6月27日付で社長を退任した。これまで長期政権が目立った同社にあって、5年の在任期間は短い。後を継ぐ青柳俊彦専務は唐池氏と同期入社であり、この異例人事に社内外から驚きの声が上がった。今回の社長交代のきっかけは、九州新幹線の全線開通を主導した石原進会長が引退することだ。

 JR九州は実質的に国が株主の特殊法人。特殊法人の取締役の在任期間は20年、定年は70歳と定められている。石原氏は1993年6月に取締役に就任しており、在任は20年を超え来年に70歳になるため相談役に退く。石原氏はNHKの経営委員を兼務しており、今後は財界活動に軸足を置く。会長を空席にするわけにはいかないので唐池氏が会長に繰り上がった。新社長の青柳氏は祖父、父も旧国鉄に勤務した国鉄一家。青柳氏自身も鉄道部門一筋で九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に鉄道事業本部長として携わった。JR九州としては、初代社長以来17年ぶりの技術畑出身のトップである。

●国交省、JR九州上場の検討へ

 そしてこのタイミングで国土交通省は、JR九州を16年度までに上場させる検討に入った。新社長の目下の経営課題は上場を達成させることだが、目標達成に向けては難問山積だ。JR九州の14年3月期連結決算の売上高は前期比3.5%増の3548億円で、4期連続の増収で過去最高を更新した。営業利益は同19.7%増の90億円、当期利益は同91.2%増の115億円と、いずれも2期ぶりの増益となった。

 採算が厳しいローカル線が多く鉄道事業の営業損益は149億円の赤字。収益性の高いマンション販売や駅ビルなどの不動産事業と、コンビニエンスストア、ドラッグストアの小売事業などの関連事業の儲けで、鉄道部門の赤字を補い営業黒字にした。最終損益が大幅増益となったのは、経営安定基金の運用益で最終利益をカサ上げしたからだ。

 1987年の国鉄の分割民営化の際に、慢性的な赤字が予想されたJR九州、四国旅客鉄道(JR四国)、北海道旅客鉄道(JR北海道)の3島会社には経営安定資金が渡された。JR九州の経営安定基金は4201億円で、基金の一部を独立行政法人、鉄道建設・運輸施設整備支援機構に高利回りで貸し付けて運用している。市場金利が下がっても一定の収入が約束され利益を底上げしてきた。14年3月期の基金の運用益は120億円で前期より22億円増えた。関連事業の利益が鉄道事業の赤字を上回ったとはいえ、基金頼みの経営であることに変わりはない。

 上場するからには、まず基金を国に返済するのが先決との指摘もある。安定した経営には基金の運用益が欠かせないとしても、株式を公開して民間企業となる以上、基金を残しておくのは経済原理にそぐわないからだ。そのため、「JR九州の上場には基金の扱いをめぐって、一波乱あるかもしれない」(業界関係者)との見方もある。