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厳しさ増す生保業界、最大の課題は生保レディー改革?旧来慣習横行する営業現場の実態

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「Thinkstock」より
 少子高齢化の進行で、国内市場の変化が見込まれる生命保険市場。バブル崩壊や金融の自由化以降、一部の中堅下位生保は外資にのみ込まれるなど再編が起きたが、いまだに43社が乱立する。価格競争など地殻変動が起きているが、営業現場からは危機感がない現状が透けて見えてくる。

「この業界は20年前と何も変わっていませんよ」。外資系生保の関係者はこう囁く。生保の販売は、街中の保険ショップや銀行など金融機関の窓口、インターネットなど多様化しているが、依然として主力は生保レディーだ。

 最大手の日本生命保険は2万人、中堅生保でも数千人程度を抱える。彼女らの営業スタイルはかつて「GNP(義理・人情・プレゼント)」と称され、「営業スキルは一部の職員を除き低い」(大手生保社員)との指摘もある。

 もちろんこうした状況を改善するため、各社は手をこまねいてはいない。タブレット端末を活用するなどして生保レディーの営業スキルの底上げを急ぐ。生保関係者は「ボタンをタッチするだけで知識がなくても説明できる。新人でもベテランでも均一の営業提案ができる」と胸を張るが、こうした実態は生保レディーの営業スキル向上が後手に回っていたことを物語る。

●旧時代的な慣習が横行する営業現場

 営業スタイルの改革に乗り出す各社だが、生保各社の本質が変わったかといえばそうではない。ある中堅生保の社員は「営業現場では、他の業界ではありえない旧時代的な慣習が、いまだに横行している」と語る。

 かつて各社は生保レディーが辞めるのを前提に、できるだけ大量に採用した。生命保険は単価が高い商品であるため、生保レディーにその親族などへ保険を売ってもらえば、その後は辞めてもらっても会社としてはまったく問題がなかった。営業所長の役割は、どれだけ生保レディーを増やせるかが仕事だった。

 ただ、人口減少社会に突入し、採用数の先細りが見込まれる。こうした中、一定の職員数を確保するために、離職率を低下させることが営業所長の役割になっている。もちろん、離職率の低下は、業界を問わず課題だ。取り組み自体は推奨すべきことだが、度を超した実態が一部の会社の営業所では目の当たりにできるという。

 最近まで現場の最前線を指揮した中堅生保の元幹部は、その実態を次のように明かす。

「朝、ベビーカーを押して出勤して、タイムカードだけ押して帰っていく社員もいる。それでも在籍人数としてカウントできたほうがよいという発想。幽霊社員ですよ。3割程度は、まったく戦力になっていない。営業所によっては子供が走り回ったりしている場合も少なくなく、所長の役割は『子守』ですよ」

 会社によっては、担当役員がリストラに動きだそうとしたところ、組合の猛反発を食らい頓挫したという話も漏れ聞こえてくる。組合の力が強いのもあるが、「業界の考え方として、規模が大きければよいという発想が、こうした事態を生み出している」(元幹部)。