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拮抗するスタバとドトール、意外に多い共通点とは?出発点やコンセプト、店づくり…

文=高井尚之/経済ジャーナリスト

●スターバックスとドトールの共通点

 実はこの両社は、似ている点や共通する点がいくつかある。

(1)出発は小さな焙煎業者

 ドトールは創業者の鳥羽博道氏が、62年にコーヒー豆の焙煎加工・卸売業者として有限会社ドトールコーヒーを設立した。最初の事務所・焙煎所・倉庫兼用の部屋は、わずか8畳だった。

 スタバは71年に米国シアトルにある海沿いの小さな店からスタートした。この店も当初はコーヒー豆の焙煎加工・卸売業者であった。

(2)キーワードは「立ち飲み」

 71年、鳥羽氏は喫茶業界初の欧州視察旅行に参加し、パリの立ち飲みコーヒー店で見た光景を基に店舗構想を描き、80年に「ドトールコーヒーショップ」を開業する。当初は「立ち飲みコーヒー」をコンセプトに掲げていた。

 スタバも、立ち飲みから進化させた「歩き飲み」を開業地・米シアトルのスタイルとして定着させた。

(3)ドトールはフランス、スターバックスはイタリアでヒントを得る

 ドトールの鳥羽氏が新たな店づくりのヒントをフランスで得たのに対して、現在のスタバの実質的な創業者であるハワード・シュルツ氏は、83年にイタリア・ミラノでエスプレッソバーに感動し、米国でその味を実現する店づくりの構想を思い描く。

 両者共に、特に注目したのは個性的な店とコーヒー職人であるバリスタの存在だった。

(4)ドトールは、スタバ人気に触発されてエクセルシオールを開発

 日本1号店を開業後、消費者の大きな支持を受けたスタバ人気に対抗して、ドトールが新たに展開したのがエクセルシオール(99年1号店開業)だ。当初、看板が似ているとスタバから提訴され、ドトール側が変更した経緯もある。

 鳥羽氏は後に「スタバから多くのことを学んだ。最も大きかったのは、コーヒー1杯250円以上のセルフカフェでも収益が上がるとわかったことだ」と語ったように、現在のエクセルシオールのコーヒー(S)は1杯300円だ。

 こうして日本国内でも店舗拡大を果たしたスタバとドトールは現在も人気店だ。

 だが、最近は業界の潮流も変わってきた。それが「喫茶店の復活」と呼ばれる現象だ。「サードウェーブコーヒー」という言葉も耳にするようになった。実は、サードウェーブコーヒーと喫茶店にも歴史的な因縁がある。次回はそれを紹介したい。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト)

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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