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藤原実「気になりませんか?」

資金の借り手と貸し手を結ぶ新たな仕組み、ソーシャルレンディングとは?利点とリスク

文=藤原実/藤原実税理士事務所所長、内閣府所管公益財団法人生涯学習協議会認定ビジネスモデル・デザイナー(R)

●お金の借り手として

 では、お金を借り入れる側からしてみると、サービスによってさまざまな特徴がありますので、自分の状況に合ったところを選択する必要があります。そして、当然ですが、借り入れが認められるためには、各サービス運営会社の審査を通らなければなりません。例えば、「AQUSH」では、以下のような借り入れ資格が明示されています。

(1)本人確認が取れること
(2)300万円以上(目安)の年収があること
(3)20歳以上70歳以下
(4)借り入れ過多でないこと
(5)2年以上の信用履歴があること
(6)過去5年以内に債務不履行していないこと
(7)クレジットカードまたはローンの取引実績があること

 もちろん、銀行の金利よりは高くなります。消費者金融や市中の不動産担保ローンと比べてどうなるかは、借り手の信用度合いに依存します。

●中小企業の資金調達の将来

 14年2月に中小企業庁が「経営者保証に関するガイドライン」を公表しました。これは、銀行貸し付けの弊害であると考えられてきた経営者の借り入れに関する個人保証について、今後の中小企業金融に一定の方向性を示したものです。まだ法制化されていませんが、金融機関はこれに従って対応を迫られることになります。

 また、同じタイミングで、これまで緊急避難的に100%あった信用保証制度が段階的に縮小される流れになります。経営者保証ガイドラインにもあるように、世の中の流れとしては、悪しき慣習とも指摘される連帯保証をなくしていこうという方向性です。これまでは、少しくらい危なそうでも銀行は貸しやすいように信用保証制度でフォローしていこう、という仕組みでした。しかし今後は、銀行は経営者の保証も制限され、信用保証制度で最終的な穴埋めもされないため、事業そのものの将来性や、それが可視化された事業計画など、別の要素が重要になってくるでしょう。

 こういう社会的な流れの中で、経営者にとっては資金調達方法のバリエーションが増えることは良いことだといえます。選択肢が銀行しかないよりは、自分・自社の状況に合った方法を使える環境はまっとうです。しかし裏を返せば、シビアに事業内容を審査されることになるので、経営者としてはより収益性があり、それが継続的に続くモデルを構築していく必要があるということでもあります。

 ネットが生み出した、この普通の人まで活用できるソーシャルレンディングは、投資家(貸し手)の立場から見ても、借り手の立場から見ても選択肢が増えているという点は、頭の片隅に置いておくと役に立つ機会が出てくるかもしれません。ただし、あくまでご利用は計画的に。
(文=藤原実/藤原実税理士事務所所長、内閣府所管公益財団法人生涯学習協議会認定ビジネスモデル・デザイナー<R>)

藤原実/藤原実税理士事務所所長、内閣府所管公益財団法人日本生涯学習協議会認定ビジネスモデル・デザイナー<R>

藤原実/藤原実税理士事務所所長、内閣府所管公益財団法人日本生涯学習協議会認定ビジネスモデル・デザイナー<R>

税理士。内閣府所管公益財団法人生涯学習協議会認定ビジネスモデル・デザイナー。藤原実税理士事務所所長。1975年生。慶應義塾大学経済学部卒
moresutartups.net 藤原実税理士事務所

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