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ベネッセ、情報流出事故でぶれた対応と、遠のく経営再建 “原田マジック”再来なるか

文=編集部
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ベネッセ、情報流出事故でぶれた対応と、遠のく経営再建 “原田マジック”再来なるかの画像1「ベネッセホールディングス HP」より
 日本マクドナルド会長の原田泳幸氏が6月、「進研ゼミ」などを運営する通信教育大手、ベネッセホールディングスの会長兼社長に就任し話題を呼んだが、その原田氏が早くも正念場を迎えている。

 進研ゼミなどの顧客情報、延べ1億件分を、派遣社員の松崎正臣容疑者が持ち出し、7月17日に逮捕されたのを受け、原田氏は同日、東京都内で記者会見した。原田氏は顧客情報の流出についてあらためて謝罪し、情報が流出した顧客に対して総額200億円の補償をすると発表した。2015年3月期の純利益を213億円と予想しており、14年同期は199億円。利益に匹敵する金額であり、赤字転落の瀬戸際に立たされたことになる。

 アップル日本法人や日本マクドナルドで社長を務め、数多くの苦境を乗り越えてきた経営者として知られる原田氏だが、今回の顧客情報流出への対応では判断が大きくぶれた。事故後の7月9日の会見で原田氏は、「金銭的な補償はしない」とはっきり述べていたが、過去に個人情報を流出させた企業は少なからずあり、その多くのケースで金銭的補償が行われてきた。ポイントカード会員の住所などが流出したローソンは03年、115万人に1人500円の金券を配布した。09年には三菱UFJ証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)が5万人に1人5万円の商品券を配って補償した。

 こんな例が数多くある中、なぜベネッセは「補償をしない」と明言したのか。9日の時点で同社が流出を確認したとしているのは760万件だったが、その後、最大2070万件にまで規模が拡大した。結局、金銭的補償を行わないとするベネッセの方針が顧客の批判を呼ぶ格好となり、同社は方針転換に迫られた。

 17日の会見では報道陣から「ベネッセは被害者か加害者か、どちらなのか」との辛辣な質問が飛んだが、原田氏は「これだけ迷惑をおかけしたという意味では、加害者と思っている」と答えた。さらに会見では、「約5万件の苦情・問い合わせがあり、うち約3000件の退会申し出があった」ことを明らかにした。また、200億円の補償を用意したのは、「1人500円の金券を配ると2000万人で100億円。2倍の200億円にした。(略)顧客の信頼を回復するための『経営判断』だ」と説明した。

 加えて「経営再建と信頼回復どちらを優先課題として捉えているか」という質問に原田氏は「明らかに顧客信頼回復だと思っている」と答えた。7月2日の経営方針説明会でベネッセは「売上高、利益に占める割合が大きい進研ゼミを強化していく」と表明していたが、この方針も大転換を余儀なくされたことになる。

●抜本的な見直しを迫られた勧誘活動

 通信教育の雄といわれたベネッセが変調を来たしたのは13年からだ。同年以降、会員数が40万人も減り、今年4月時点で365万人まで落ち込んだ。これに危機感をもったのがベネッセの前身、福武書店創業家一族である福武總一郎会長(現・最高顧問)だた。「過去の成功体験にとらわれない指導力が必要」として、原田氏をトップに招聘した。

BusinessJournal編集部

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