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吉田潮「だからテレビはやめられない」(7月23日)

学芸会レベル…日テレ連ドラで試される視聴者の許容力?箸にも棒にもかからず意味不明

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『ST 赤と白の捜査ファイル』公式サイト(「日本テレビ HP」より)
 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組やテレビの“楽しみ方”をお伝えします。

 戦隊ヒーローモノ、特に色別の5人組には、どこかそそられるものがある。特に40代は幼少期から色別ヒーローに慣れ親しんできた。「赤(あるいは白)はリーダー、青(あるいは黒)はクール、黄色はたいがいがよく食うデブで、ピンクはお色気担当」という、刷り込まれた先入観がある。記憶の中では「ゴレンジャー」とか「デンジマン」とか「ガッチャマン」とか、そのあたりね。作品によって、色や役割には多少違いはあるものの、昭和40~50年代にガキだった人々の脳細胞には「色別役割分担」がうっすらと刻み込まれている。

 なぜそんな話をするかといえば、昭和の古き懐かしき色別役割分担を取り入れた連続テレビドラマがあるから(ま、役名でいえばよくある手なんだけど)。今クール(7~9月期)の連ドラ『ST 赤と白の捜査ファイル』(日本テレビ系/毎週水曜夜10時放送)である。昨年4月に2時間モノのスペシャルドラマで放送されたのだが、大きな話題にもならず、そのまま立ち消えるかと思いきや、連ドラになって帰ってきた。当時の感想を書いたノートを探したところ、「学芸会か。警察モノではなく特撮モノとして観ればよいのかも。窪田正孝の無駄遣い。日テレで異様に頑張ってる志田未来を応援したいが、内容的にムリ」と書いてあった。警察モノにしてはあまりにふざけた人物設定だったため、箸にも棒にも、毒にも薬にも、という作品だった。が、連ドラ化ともなると意気込みも異なるわけで。昭和の刷り込みも踏まえて、じっくり観ることに。

 主人公は藤原竜也演じる法医学の専門家・赤城左門。警視庁が特別につくったST(科学特捜班)というチームのリーダーだ。科学捜査能力に長けているが、対人恐怖症で引きこもるクセがある。もうこの時点でツッコミたいところだが、しばし待たれ。藤原の難のある性格に翻弄されるお人好しの警部に岡田将生。役名は百合根友久。ここで、タイトルの「赤と白の~」って意味がわかるだろう。色別役割分担はここだけじゃない。

 STは藤原の他4名。プロファイリングの天才だが、秩序恐怖症という志田未来(役名は青山)。こんな子供が、と呆れるのを抑えつつ。弾道計算などの物理的科学捜査能力に長け、人並み外れた聴力を持つ。閉所恐怖症の研究員に芦名星(役名は翠)。薬物や毒物に詳しく、嗅覚が異常に発達した研究員に窪田正孝(役名は黒崎。NHK朝ドラ『花子とアン』の朝市役ね)。刃物が苦手な先端恐怖症だが、武術ができるST唯一の武闘派。しゃべらないという役柄がもったいない……。そして、僧侶の資格をもち、化学全般に詳しいのが三宅弘城(役名は山吹)。唯一社会性がある役柄だが、重度の不眠症。すべて色別の役名で、社会性が乏しい割になんらかの特殊能力を持っていて、なんらかの心身症を抱えているという、もう強いんだか弱いんだかよくわからんチームである。

 芝居のうまい窪田が無口な役で、運動能力の高い三宅が袈裟着て説教垂れるインテリの役、いつまでたっても子役からの脱出をさせてもらえない志田……。なんだかいちいちもったいない。これはスペシャル版のときと同じ感想だ。警察モノなのに荒唐無稽な人物設定という点では、視聴者がついていけない部分が多い。多すぎる。でもこれ、実写版戦隊モノ(特撮ナシ)として、子供の頃の気分に帰って観るのであれば問題ない。採石場での爆破シーンもないし、合体して巨大ロボットになることもないけれど、あの頃の純粋な気持ちに戻れば「わー、すごい」と微笑ましく観ることができるはず。己の許容力が問われるドラマだ。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

●吉田潮(よしだ・うしお):
ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)、「ラブピースクラブ」(ラブピースクラブ)などで連載中。主な著書に『2人で愉しむ新・大人の悦楽』(ナガオカ文庫)、『気持ちいいこと。』(宝島社)、『幸せな離婚』(生活文化出版)など。カラオケの十八番は、りりぃの「私は泣いています」、金井克子の「他人の関係」(淫らなフリつき)など。