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闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第19回

路上喫煙違反者、過料取り消し求め横浜市を提訴し勝訴、二審逆転、最高裁へ

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「従って、路上喫煙禁止地域は極めて限られたものでは決してなく、むしろその逆であり、多数の人が往来する野外の場においては、全国的な規制として行われていることが周知の事実となっているというべきである」と横浜市は主張した。

 また、一審判決で過料2000円について「抑止効果がない」としたことについて、「到底首肯できるものではない。現に横浜の過料処分件数は08年の5000件台から12年は2000件台へと減少」しているとし、「路上喫煙の禁止を実効あらしめるためには、路上喫煙の有無を現場で確認する嘱託職員の存在が不可欠であり、ゴネ得を許さず、現場における過料徴収業務を円滑なものとするためには、人員の大幅増員を余儀なくされ、コストもかかる」と、過料の正当性を訴えた。

 そして、「政令指定都市の中で最も人口の多い横浜市内の、人通りの多い駅前付近の地区である以上、通常の喫煙者であれば、路上喫煙の危険性を認識し、喫煙禁止地区に該当する可能性が高いことは当然に予見し得ること。まして、原告の居住地は、市内全域が禁止区域とされるのだから、路上喫煙禁止地区か確認した上で喫煙するのが通常の行動である。それにもかかわらず、注意義務を怠り、漫然と喫煙を継続した原告には明白な過失が存する」と西島氏の過失を主張した。

●二審は逆転判決、最終判断は最高裁へ

 一昔前の路上喫煙が当たり前の時代からすると、タバコを取り巻く環境や社会認識は年々急速に変化している。そのような時代の中で、厳格に罰則を科す横浜市の姿勢は、地方自治として行き過ぎなのか。また、「喫煙禁止地区であることを知らなかった」「看板が見えなかった」といえば、お目こぼしされるべきなのか。こういった点を高裁がどう判断するか。喫煙者はもちろん、非喫煙者にとっても注目の二審判決が6月26日、ついに下った。

 判決文では、「本件違反場所付近には、路面表示が2カ所、看板が1個存在したことが認められる」とした上で、神奈川県内の15市町村で路上喫煙禁止条例を制定しており、そのうち9市町村は過料または罰則を科している点や、西島氏の居住する市でも主要駅を中心にした半径250mの範囲内で一切の路上喫煙が禁止されており、横浜市と同様の禁止表示がされていることなどを指摘し、「このような状況に照らすと、あえて路上で喫煙する場合には、その場所が喫煙禁止か否かについて、路面表示を含めて十分に注意して確認する義務があるというべきである」とし、西島氏がパルナード通りに進入した際、「路面表示をも注意して路上喫煙禁止であることを認識することが十分に可能であったと認められるから、被控訴人(西島氏)には過失があったといわざるを得ない」とした。

 また、パルナード通りに入った矢先に罰金を告知されたことについては「仮にそうだったとしても(略)表示を見落とした過失により路上喫煙をしたことは否めない」と判断。

 さらに「被控訴人は、そのほかにも路面表示には過料の制裁の記載がなかったとか、路上喫煙に対する規制が一律ではないなどと、過失を否定する主張をするが、これらを考慮しても、上記認定を覆すことはできない」とした。西島氏の逆転敗訴である。

 なお、「喫煙禁止地区であることを知らなかった」「表示が見えなかった」と言えばお咎めなしなのか、との点については、「注意喚起が十分にされていない状態で喫煙する者がいたとしても、それに制裁を科すことは本件条例の趣旨を逸脱する」「喫煙者が、通常必要な注意をしても路上喫煙禁止地区と認識しなかった(略)場合には、注意喚起が十分にされていなかったことになるから、過料の制裁を科すことはできないと解するべきである」との判断を示した。なお、この判決を下したのは、東京高裁第4民事部の田村幸一裁判長だった。

 現在、西島氏はその後、上告している。最高裁の判断に注目したい。
(文=佐々木奎一/ジャーナリスト)
 
●佐々木奎一(ささき・けいいち)
「My News Japan」を中心に、「別冊宝島」や「SAPIO」「週刊ポスト」などで執筆するジャーナリスト。企業のパワハラや不当解雇などの労働問題を中心に、政治家の利権や原発問題に絡むメディアの問題なども取材をする。これまでに、「キユーピー」のパワハラ問題の追及や大企業の障害者雇用に関する問題提起、バンダイナムコの社員うつ病問題などを追及して話題となっている。

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