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吉田潮「だからテレビはやめられない」(7月29日)

フジ27時間テレビ、ジャニーズへの壮大な接待?疲弊するSMAP、衰退するさんま…

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フジテレビ本社ビル(「Wikipedia」より/Defchris)
 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組やテレビの“楽しみ方”をお伝えします。

 40歳をこえてもなおキラッキラのアイドルでいなきゃいけない。足腰にガタがきていても、笑顔で踊り、歌い、カメラに向かってシナをつくらなければいけない。それはそれで拷問だなと思う。フジテレビが総力をあげてSMAPジャニーズ事務所の接待に挑んだ『武器はテレビ。SMAP×FNS 27時間テレビ』が、6月26~27日にかけて放送された。司会のSMAPを好きな人にとっては垂涎の27時間だったことだろう。メンバーが延々だらだら出まくるのだから。が、そうでない人にとっては、一切興味がなく、この27時間はリモコンの「8」のボタンを押さなかったに違いない。

 ネタはないか~、なぐごはいねが~(秋田なまはげ風)と、ちょいちょい「8」のボタンを押したのだけれど、特筆すべき事象が見当たらないまま、ずるずると時間が過ぎてゆく。SMAPは好きでも嫌いでもないけれど、最近はフジテレビくらいしか推してないから、目にする機会も減った。日本テレビは同じジャニーズ事務所の嵐とか、もう少し若手の人々(正しいグループ名わからず)に完全に鞍替えしているワケだし。

 人間は睡眠をとらないと、本当に廃人になる。40年物の肉体はいくら基礎体力があろうと、仕事であろうと、キツイものはキツイ。SMAPの5人も、いくら起死回生で過去のトラブルや事件などの自虐ネタをお披露目しようが、キツかっただろうなと。キラッキラのアイドルを観るというよりも、ヘロヘロの中年に心底同情する心持ちだった。

 特に同情したのは、明石家さんまが登場したとき。SMAPファンでもない私が、軽くさんまに殺意を覚えるほど、しつこくSMAPを疲弊させていた。最後のライブで流すPVを撮影するという目的で、このくそ暑い中で5人に極厚のペンギンの着ぐるみを着せて、無駄なセリフを何度も言わせて、滑り台を滑るよう強要。その前近代的なノリとしつこさには辟易した。一瞬寝落ちしてしまった中居にそっと添い寝するタモリとは大違いだ。芸人のサガとはいえ、なんだかもうSMAPが気の毒で仕方なかった。SMAPの衰退というよりは、“さんまの終焉”の文字が頭に浮かんだ。

 20年以上アイドルとして君臨してきた歴史はすごい。でもそれよりも、異様なまでの気遣いと全社総出で盛り上げようとするフジテレビの「必死感」はもっとすごい。すごいって言葉を褒め言葉ではなく使うのもどうかと思うが。内容にかなり偏りのある『27時間テレビ』が、視聴者に対して「国民のみなさま」と語りかけるあたり、その視野の狭さと客観性のなさは激痛である。しれっと「国民の総意で」と言っちゃうところは、現政権の体質に近いものがある。

 視聴率は最後の最後でとれたようなので、フジテレビもジャニーズ事務所もひとまずほっとしているところだろう。総出の接待おつかれさまでした。ただ、最高視聴率を記録した瞬間の1つが『サザエさん』の放映時間帯だったというのは、心して、真摯に受け止めるべきだと思われる。『サザエさん』を観ないと日曜日を終えられない人も大勢いるし、そもそもフジテレビも『サザエさん』だけは中止せずに放映したという阿漕な狙いもあるワケで。

 個人的な発見は、平井堅似のアナウンサー・榎並大二郎はアイドル殺しである、ということ。背がすらりと高く、ほどほど筋肉質、色黒で濃いめの端整な顔立ちは、芸能人よりも目立ってしまう。27時間でそれだけかよ、って話でもあるのだが。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

●吉田潮(よしだ・うしお):
ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)、「ラブピースクラブ」(ラブピースクラブ)などで連載中。主な著書に『2人で愉しむ新・大人の悦楽』(ナガオカ文庫)、『気持ちいいこと。』(宝島社)、『幸せな離婚』(生活文化出版)など。カラオケの十八番は、りりぃの「私は泣いています」、金井克子の「他人の関係」(淫らなフリつき)など。