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社外取締役、なぜ“ちゃんとした人”は選ばれない?“お飾り”人気、日本企業の悲しき実情

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 すると今度は、誰も文句を言えない立派な人、イコール多忙な人を選任すれば、他が忙しくて自分の会社への意識割合、関与は少なくなり、結果として名前だけ残って取締役会ではただ座っているだけ(なんなら座ってすぐに次の予定のために退出したっていい)という発想に切り替わってきたりもします。たまにたくさんの立派な会社の社外取締役をいくつも兼務する方がいらっしゃいますが、それは本人の意思とはまた別に、そうした力学も作用してしまっていることの表れではないでしょうか。頭の良い人たちが少し頭をひねれば、制度を骨抜きにして運用するのはたやすいことです。

社外取締役の成否は、日本経済の将来を占う?

 筆者は経営コンサルタントとして雇われる立場と、コンサルタントを使う立場と双方を経験していますが、コンサルタントを活かすも殺すもクライアント次第だと思っています。無責任かもしれませんが、まずクライアントの会社や社員に、課題を解決したいという動機と意思がないと、絶対に物事は動きませんし、変えられません。上司や本社への説明材料をつくりたいのか、物事を動かしたいのか、クライアントとコンサルタントの目線が最初に一致していないと、報酬の無駄遣いに終わるだけです。

 社外取締役も、ほぼ同じことです。その点、上場会社でもマザーズのベンチャー企業などで純粋に自分たちの議論の活性化やその知見を活かしたいと思って社外取締役を登用している企業などは、非常にうまくその枠組みを活用しているケースもたくさんあります。

 外部環境の悪化は業績不振のきっかけとはなれど、不振が継続する要因になることはあまりありません。その要因は、ほぼ間違いなく内部要因にあります。そして内部要因の中で最大の要因は、人間の感情にあります。経営幹部も人間ですので、みっともない思いはしたくありません。会社のためであっても自分が割を食うのであればやりたくないと、つい思ってしまいます。そうした感情と向き合って乗り越えて全体最適の合理的な判断ができる立派な経営幹部がいるのが、立派な会社です。

 人間は本来的に変わることが億劫であり、大変なことです。年を取ってくるとさらに、今までの自分を否定される気分になってしまうため、腰が重かったり、変えることを促す人間や状況に対して嫌悪感を抱いたりしがちです。自分で自分を律する、他人に律してもらうことは大変ですが、その先には必ず何か得るものがあります。

 今は一服しているかのように見える日本経済の「失われた20年」ですが、それが30年になるのかどうか。日本経済の中心を担う上場大企業が社外取締役を利用して、どう活性化していくのか、それともただのお飾りとなって当事者だけ満足したかたちで終わるのかが、1つの象徴になると思います。
(文=中沢光昭/経営コンサルタント)

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