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大王製紙、お家騒動再燃 経営陣と創業家・井川一族の内紛が深刻化、経営混乱進む

文=編集部
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 外部調査を実施したところ、創業者の三男で高雄氏の弟である井川俊高特別顧問が北越に支配されることを嫌い、川崎紙運輸に大王株と北越株を買わせていたことが明らかになった。

 井川家は多産系だ。創業者の井川伊勢吉氏には4人の弟がいて、全員が関連会社の社長を務めた。伊勢吉氏の6人の息子たちも全員、関連会社の社長になった。伊勢吉氏は6男2女の子だくさんで、長男が高雄氏である。そして息子や嫁婿の多くが関連会社の経営陣に名を連ねている。大王が北越と統合したら関連会社が解体され、こうした現在の体制が崩れる可能性がある。意高氏の特別背任事件で影響力をなくした本家の高雄氏に代わって、井川一族のとりまとめの中心になったのが、分家の俊高氏だった。俊高氏が井川家の新しい実力者となったことで様相が一変した。

 井川一族による北越株の取得は、佐光社長が一族をコントロールできないことを露呈させた。北越に融資している金融筋からは、「経営者のガバナンスが利かない伏魔殿の大王に関わるより、注力している中国工場などに経営資源を集中させるべきではないのか」との声が上がる。

●大王、自主独立を強調

 大王は今年6月、公募増資と北越への第三者割当増資を実施。公募増資で1400万株、第三者割当増資で423万株を売り出し、最大224億円(手取り概算)を調達した。公募増資は1988年2月以来、26年ぶりだ。調達した資金を使い、家庭紙の子会社、エリエールプロダクトのいわき工場に新工場を建設し、ベビー用オムツなどの生産能力の増強を図る。

 北越が第三者割当増資を引き受けたことで、緊張関係が解消したかのように見える。しかし、北越は40億円の第三者割当増資は引き受けたが、公募とセットの増資なので持ち株比率は3月31日時点の21.30%から21.23%に低下した。さらに、大王は「支配株主等に関する事項について」というタイトルで、北越をけん制するリリースを出し「北越の持分法適用関連会社であり、同社から社外取締役を1人受け入れているものの、経営は自主独立で行く」と強調した。公募増資で自動的に持ち株比率が下がる井川家の心配に配慮して、北越の軍門に下るつもりはないと宣言したもの、と製紙業界では受け止められた。

 北越の第三者割当増資が完了した直後に高雄氏が名誉棄損で佐光社長を訴えた。高雄氏は「(提訴の)準備に2年をかけた。徹底的に社長と対決する」と周囲に漏らしているという。

 再び再燃した大王製紙のお家騒動、その出口はいまだ見えてこない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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