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先送りされた気象リスク?猛暑で経済効果、反動減とエルニーニョ暖冬で景気減速も

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「エルニーニョ監視速報」(No.262/「気象庁HP」より)
 今夏は冷夏予測から一転して、暑い夏になりそうだ。気象庁は5月時点でエルニーニョ現象が本格的な規模で夏に発生する可能性があるとし、発生するとほぼ全国的に気温が低くなる傾向があるため、今年は冷夏と予測していた。しかし、同庁は7月に入ってエルニーニョ現象が秋に発生し、冬にかけて続く可能性が高いとし、7月から8月にかけて東日本などで平均気温が平年より高くなる見込みと発表した。

 各業界においても、猛暑の影響が出そうだ。過去の経験によれば、猛暑で業績が左右される代表的な業界としてはエアコン関連や飲料関連がある。また、目薬や日焼け止め関連のほか、旅行や水不足関連も過去の猛暑では業績が大きく左右された。そのほか、冷菓関連や日傘・虫除け関連といった業界も猛暑の年には業績が好調になりがちとなる。

 さらに、飲料の販売比率の高いコンビニエンスストアや、猛暑による消費拡大効果で広告代理店の受注も増加しやすい。缶・ペットボトルやそれらに貼るラベルを製造するメーカーや原材料となるアルミニウム圧延メーカー、それを包装するダンボールメーカーなどへの影響も目立つ。また、ファミリーレストランなどの外食、消費拡大効果で荷動きが活発になる運輸、猛暑で外出しにくくなることにより販売が増えるゲーム関連なども猛暑で業績が上がったことがある。

 事実、国民経済計算のデータを用いて気象要因も含んだ7-9月期の家計消費関数を推計すると、日照時間が同期の実質家計消費に統計的に有意な影響を及ぼす関係が認められる。そして、過去の関係からすれば、同期では日照時間が10%増加すると、家計消費支出が0.45%程度押し上げられる。

●実質GDPを押し上げ

 従って、この関係を用いて今年7-9月期の日照時間が記録的となった1994年および2010年と同程度となった場合の影響を試算すれば、日照時間が平年比でそれぞれ30.5%、22.2%増加することにより、今年7-9月期の家計消費はそれぞれ8817億円(+1.4%)、6418億円(+1.0%)程度押し上げられることになる。

 そして、最終的に猛暑が実質GDPに及ぼす影響を試算すれば、94年並みとなった場合は6817億円(+0.5%)、10年並みとなった場合は4963億円(+0.4%)ほど実質GDPを押し上げることになる。このように、猛暑効果は経済全体で見ても無視できないものといえる。

 しかし、10-12月期は反動が予想されることには注意が必要だ。過去の例では、94、10年とも7-9月期は大幅プラス成長を記録した後、翌10-12月期は個人消費主導でマイナス成長に転じているという事実がある。

 つまり、猛暑特需は一時的に個人消費を実力以上に押し上げるが、むしろその後の反動減を大きくする姿が窺える。猛暑効果により売り上げを伸ばす財・サービスは、暑さをしのぐためにやむなく出費するものが多い。従って、今年も猛暑効果で夏に過剰な出費がされれば、秋口以降は家計が節約モードに入ることが予想されるため、注意が必要だ。