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●節税のため海外移住
總一郎氏は実業家のほかに、芸術・文化推進の功労者という、もう一つの顔を持つ。04年、個人資産を寄贈して福武財団を設立し、瀬戸内に浮かぶ直島に美術館をつくり、直島は現代アートの聖地として国内外から高く評価された。文化・芸術活動を行う福武財団は養子の英明氏に引き継がせ、09年には居住地をニュージーランドに移した。日本の相続税・贈与税の最高税率は50%だが、ニュージーランドは無税。資産管理会社、イー・エフ・ユーインベストメントはオークランドに本社を置いた。
ベネッセHDの14年3月末の筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行で15.44%を保有する。有価証券報告書の脚注によると、このうちの13.29%は總一郎氏とれい子夫人が全額出資する資産管理会社イー・エフ・ユーインベストメントが信託財産として拠出したものだ。福武財団は4.88%の株式を持つ。親族の持ち株を合わせるとベネッセHD 株の27.93%を保有する、圧倒的な大株主だ。總一郎氏は自分が亡くなっても相続税を払わなくて済むように海外に移住し、ベネッセの配当金で文化・芸術活動を続けていける仕組みをつくったわけだ。
ベネッセは顧客情報流出事件で、巨額の損失と顧客流出に伴う未曾有の危機に立たされている。流出事件が起きた時の実質的な経営トップだった總一郎氏の責任を問う声が、今後、広がる可能性もある。
(文=編集部)
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