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日テレ日曜夜、異常な高視聴率連発の謎 愚行的体当たりと財力で、子どもも年寄りも獲得

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日本テレビタワー(「Wikipedia」より/Kure)
 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組やテレビの“楽しみ方”をお伝えします。

 日曜夜の日本テレビの番組って、なぜこんなに高視聴率連発なのだろうか。ふだんあまりバラエティ番組を好んで観ないのだが、日曜夜は本当に異常。休日という特性があるにせよ、日テレのひとり勝ちにもほどがある。何がそんなにすごいのか。

 19時からは『ザ!鉄腕!DASH!!』。中年アイドルグループのTOKIOが体を張って企画をこなす番組だ。ジャニーズアイドルの中で最も華のないグループだが、口パクではなく、ちゃんと歌って演奏できる、数少ないまともなアイドルだ。汚れ仕事も厭わず、今年はリーダーの城島茂が『24時間テレビ 愛は地球を救う』(8月30~31日放送)のチャリティーマラソンまで引き受けちゃって。中年をいじめるのもたいがいにしてほしいのだけれど、ふんわりとやる気を出している城島。

 この番組のポイントは断然「企画力」だなぁと思う。「0円食堂」は捨てる食材だけを足で回って入手し、料理をする。なんの変哲もない企画だが、無駄遣いに手厳しい、口うるさい年寄りも納得の内容だ。年寄りが大好きな道の駅からスタートするところもなかなかにあざといし、お金をかけずに足で稼ぐというスタンスは、努力が大好きな日本国民に幅広くウケること間違いなし。冷暖房の効いたスタジオで、のほほんとVTR観るような「港区限定仕事」ではない(キー局ってなぜか全部港区だよね)。いつも土まみれ汗まみれにさせられるTOKIOの「地域密着型」「地方推進型」仕事がウケているのだろう。一見子供向けに見せておきながら、実は地方の年寄りも抱き込む商法。さすがである。

 20時からは『世界の果てまでイッテQ!』。イモトアヤコや出川哲郎、デヴィ夫人、森三中らが体を張って世界中でくだらない挑戦を続ける(イモトの場合は、もはやエベレスト登頂などの崇高な使命まで帯びちゃったので、正直、笑いにくくなっているのだが)。

 ここには昔懐かしの「体を張った愚行」が脈々と受け継がれている。40代以上が幼少期に慣れ親しんだ「体当たりバラエティ」が生き残っている。視聴者からのクレームやら批判が多い体当たり系は、おそらくスタジオ内でのおバカである。世界各国へ出向いて旅情がてらのおバカはなんとなく許されるのだろう。世界各国へタレントを送り込めるだけの財力と人材は、たぶん、日テレが断トツで豊富なのだろう。

 8月24日放送回の「出川哲郎アワード」はやはり鉄板で大笑い。1時間で何回吹き出したか数えたのだが、8回。出川だけで8回。しかも締めには「70歳になっても(いろんなことに体当たりして)かわいそうに思われないおじいちゃんになりたい」と出川。芸人なのに笑わせる意気込みゼロ。一生笑われる覚悟をしている出川に、ちょっと感動した。

 21時からは『行列のできる法律相談所』。これは完全に日テレの政治力。スキャンダル含めて話題を提供するタイプの芸能人をフィックスする手腕がすごい。素行が問題になった司会者が芸能界を去った後、番組を継続させる力もすごい。22時以降『おしゃれイズム』『有吉反省会』と続くが、これらも高視聴率番組にランクイン。どちらもゲストによる数字の差が出る番組ではあるが、トータルでいえば番組自体に「人たらし」の才能があると思う。

 斜に構えて日テレを観続けたのだが、案外面白かった……。ハマる中毒性は弱いものの、老若男女を浅く広くとらえる安定感は抜群。日曜夜は個人的には『モヤモヤさまぁ~ず』(テレビ東京)、『大河ドラマ』(NHK)、『日曜劇場』(TBS)の流れは決して崩さないとは思うが、日テレの底力に身震いしたのだった。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

●吉田潮(よしだ・うしお):
ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)、「ラブピースクラブ」(ラブピースクラブ)などで連載中。主な著書に『2人で愉しむ新・大人の悦楽』(ナガオカ文庫)、『気持ちいいこと。』(宝島社)、『幸せな離婚』(生活文化出版)など。カラオケの十八番は、りりぃの「私は泣いています」、金井克子の「他人の関係」(淫らなフリつき)など。