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エアアジア再参入の真相 命運握る羽田進出を託された三木谷・楽天社長の“政治力”

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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エアアジア再参入の真相 命運握る羽田進出を託された三木谷・楽天社長の“政治力”の画像1エアアジアの航空機(「Wikipedia」より/Johnleemk )
 マレーシアのLCC(格安航空会社)、エアアジアは7月1日、国内航空事業再参入に向けたエアアジア・ジャパン(以下、新会社)の設立を正式に発表した。

 それから約2カ月。さまざまな情報が徐々に漏れ伝わるにつれ、航空業界関係者の間では「野心家同士の同床異夢。夢の違いが明らかになった途端、新会社は破綻する」との見方が広がっている。野心家同士とは、エアアジアCEO(最高経営責任者)のトニー・フェルナンデス氏と楽天社長の三木谷浩史氏。エアアジアの国内再参入計画は、実質的にこの2人を中心として練られ、計画が進められているという。
 

●東南アジアで低成長・低収益に悩むエアアジア

 エアアジアは昨年6月、全日空(ANA)との合弁を解消し、国内航空事業から撤退したばかり。アジア最大のLCCとして華々しく国内航空市場に参入したものの、就航開始後1年足らずで頓挫、撤退した。そのわずか1年後の再参入となったが、その理由について証券アナリストは「膝元の東南アジア事業が行き詰まっている」と指摘し、エアアジアの内情を次のように明かす。

 13年12月期の同社決算によると、売上高は前期比約5%増だったが、最終利益は約54%の減少。競争激化による運賃引下げが原因だ。「13年12月期の座席単価が前年同期より約7%も下がっている。低運賃のLCCにとっては大きな下落幅。本拠地の東南アジアで儲からなくなっている」(同)のが実情だ。

 エアアジアは低運賃を武器に既存航空会社の顧客を奪って急成長してきたが、2010年頃を境に、その後は低成長・低収益に悩んでいる。このため「これからの日本市場攻略が同社の生き残り策。実際同社は、ANAとの合弁解消発表前から再参入を画策しており、CEOのフェルナンデス氏は相当焦っている」(同)という。

 一方、楽天はかねてから「楽天経済圏のグローバル展開」を目指し、08年に台湾のインターネット通販会社を買収したのを皮切りに、アジア各国でさまざまなネット関連会社を買収してきた。海外事業の有望投資先を常に探している楽天が今回、新会社に出資したのもその一環である。

 楽天の2014年12月期中間(14年1-6月)連結決算における海外EC流通総額(楽天市場を主力とする各種ネットサービスの取扱総額)は316億円で、国内EC流通総額4546億円の7.0%にとどまっている。東南アジアのビッグネームと手を組み、東南アジアで楽天の知名度を一気に高めようと目論むのは、当然の戦略といえる。

 楽天社長の三木谷氏は新会社設立発表の記者会見で「航空事業のことはわからない。餅は餅屋に任せる」と、新会社の経営には関与しない考えを示す一方、「IT企業が航空会社に出資するのは世界初。航空事業はチケットのネット販売をはじめIT事業との親和性が高い。楽天トラベルによる集客と決済、当社の各種ITサービスを活用した機内エンターテインメントなど既存航空会社より差別性の高いサービス展開で、新会社の早期離陸・早期成長に貢献したい」と述べ、航空関連ITビジネスに専念する考えも示している。

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