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エアアジア再参入の真相 命運握る羽田進出を託された三木谷・楽天社長の“政治力”

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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 エアアジアは報道を否定したが、スカイマークへ出資する方法以外にも、エアアジアには羽田空港発着枠獲得へ一縷の望みがある。それが20年開催予定の東京五輪だ。国土交通省の有識者会議は今年6月、東京オリンピック開催に向け、訪日外国人旅行客を拡大するために必要な措置として、滑走路処理能力や飛行経路の見直しなどで発着枠を年間2.3―2.6万回増やせるとの発着枠拡大案をまとめている。同案が実現すれば、新会社にも発着枠が割り当てられる可能性が出てくる。

「そこでエアアジアが期待しているのが、三木谷氏の政治力」(業界関係者)だという。三木谷氏は、かねてから「政府は年間2000万人の訪日客誘致を掲げており、アジアからの訪日需要に対して運賃の安いLCCは有効だ」と繰り返してもいる。フェルナンデス氏は、そんな三木谷氏に「新会社が羽田空港に進出するための世論形成と、羽田空港発着枠獲得のロビー活動を期待している」(同)。

 ところが、政界関係者によると「永田町では『政界クレーマー』と陰で嫌われている三木谷氏は、自身が思っているほどの政治的影響力はない」と語る。三木谷氏は持論の大衆薬ネット販売について「これが通らない私が産業競争力会議にいる意味がない」と辞意をちらつかせて全面解禁を勝ち取ったり、自分が提唱した「インターネットアウトバーン構想」(インターネット高速回線無料化構想)が成長戦略から抜け落ちたと首相官邸にねじ込んだのは有名な話。だが、こうした動きが政界の反発を買い、「自社に有利な規制緩和ばかりをごり押しする」(自民党関係者)との評価が多い。

 航空業界関係者は「エアアジアが期待する『政治的影響力』を三木谷氏が発揮できなければ、『トニー、ミッキー』の蜜月関係は終わる。それは同時に、エアアジアの日本市場攻略の道が永遠に閉ざされることでもある」との見方を示す。さまざまな思惑を乗せ新会社は、早くも来年6月には就航を迎える。
(文=田沢良彦/経済ジャーナリスト)

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