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代ゼミ、大量閉校で“ジリ貧”予備校事業から不動産業へ華麗な転身?優良物件多数保有

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代々木ゼミナール本部タワー(「Wikipedia」より/Ystokyo)
 大手予備校の「代々木ゼミナール」(代ゼミ)を運営する高宮学園は8月25日、来年3月末で全国27カ所ある校舎のうち20カ所を閉鎖すると発表した。

 1957年に開校した代ゼミは、駿台予備学校、河合塾と並び「3大予備校」と呼ばれ、一時代を築いた。1990年代には、人気講師の授業には徹夜で並ぶ受験生もいるほどで、衛星中継によって講義を全国各地で受けられるようにするなど、事業は拡大し続けた。

 しかし、少子化の影響や現役合格志向による浪人生の減少で、予備校に入学する受験生の絶対数が激減し、事業縮小は避けられない状況となってきた。

「受験生の減少は少子化のみならず、推薦やAO入試を採用する大学も増え、現役で大学に入学することが比較的容易になり、また経済的に余裕のない家庭も増加していることもあって、浪人する学生が減っていることも要因です」

 東京都内で学習塾を3校経営する越智誠人氏はこのように語り、事業規模の縮小は代ゼミだけではなく、受験界全体にとって避けられない事態であると懸念を示す。

 代ゼミは校舎の閉鎖だけではなく、長年実施してきた全国模試からも手を引くことを発表し、業界関係者を驚かせた。「予備校は学生の学力に偏差値を付けることが存在価値のひとつであり、そのためには模試は欠かせないものです」(同)といい、今後の代ゼミの存続そのものに影を落としかねないと警鐘を鳴らしている。

●教育業界の再編となるか

 インターネットが普及し、自宅などで授業を受けることも容易になった今、予備校の存在意義をどこに求めるのか、各校は頭を悩ませている。ネット講義においても、格安や無料で配信する企業も現れ、衛星授業で学生を集めるのも簡単ではない。

 対象を小中学生へシフト、東京大学や難関大志望者にターゲットを絞る、社会人の資格取得コースを新設、個人宅や学校への講師派遣など、独自色を打ち出すことを検討する予備校も増えているといわれ、そうなれば従来住み分けしてきた他業種も余波は避けられず、教育界に再編を促すことになりそうだ。

 今回の規模縮小に合わせて代ゼミは700人規模の従業員を減らすことを検討していると伝えられ、雇用の面でも大きな社会問題となることは必死だ。

 代ゼミは40歳以上の職員を対象に早期希望退職を募集し、講師の契約は個別に対応するとしているが、関係者が語ったところによると、20日に「300人程度の講師と契約を更新せず、職員は400人規模の希望退職を検討している」と職員や講師に通知があったという。

 そんな代ゼミではあるが、一方で不動産事業へと華麗な転身を遂げようとしており、業界関係者から注目を集めている。

 今までにも代ゼミは校舎を商業施設として貸し出すなど、不動産事業は実績がある。例えば、旧京都校別館は「ホテルカンラ京都」、独身寮だった建物は「ホテルアンテルーム京都」、本部校の旧校舎は商業施設「代々木ビレッジ」に転用しており、旧札幌校は貸会議室国内最大手のティーケーピーに貸し出している。また、2016年竣工予定の名古屋本館は、「ホテル名鉄イン」との複合ビルになる予定で、不動産業界とのつながりは深い。

 広報企画部は「今後閉校する校舎については、まだ何も決まっていない」というが、駅前など各校舎の立地条件は抜群なため利用価値が高いことは間違いなく、来年以降の代ゼミ校舎がどのように変身するのか興味深い
(文=西山雄基/マーケティングコンサルタント)