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就活後ろ倒し骨抜きか インターンシップとリクルーターによる“青田買い”急増の実態

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経団連が13年9月に発表した「採用選考に関する指針」(「経団連HP」より)
 2016年卒の学生の争奪戦が早くも始まっている。といっても会社説明会や就活サイトによる応募ではない。主役はインターンシップである。

 経団連は13年9月に「採用選考に関する指針」を発表。16年度入社以降の採用選考活動から、広報活動は大学生が卒業年度に入る直前の3年生の3月1日以降、選考活動は4年生の8月1日以降とする後ろ倒しを要請した。きっかけとなったのは安倍晋三首相の動きだ。13年4月19日、経団連、経済同友会、日本商工会議所の代表に「採用広報は大学3年生の3月から、採用選考は4年生の8月から」に、それぞれ後ろ倒しするように要請。これを受けて経団連も、採用選考活動早期開始の自粛を決めたのである。

 従来は経団連の「倫理憲章」の規約に賛同した会員企業が誓約書に署名する形で規制されてきた。今回は会員企業すべてを対象とする「指針」に替えたが、罰則もなく、拘束力があるわけではない。しかも経団連自身はこれまで採用活動の後ろ倒しに消極的な姿勢をとってきた経緯がある。仮に建前上、日程は守ったとしても、果たしてどこまで実効性があるのか疑問視する声もある。

 その一つが、近年にないインターンシップの増加だ。 今年の16年卒学生を対象にしたインターシップは昨年を上回る。「リクナビ」など大手就活サイト3社のインターン募集掲載企業数は延べ4645社、前年の1.6倍に達している(6月1日時点、エン・ジャパン調査による)。

 とくに大手企業の増加が目立ち、たとえば三井物産も08年から中断していたインターンシップ制度を15年2月に8年ぶりに再開。昨年9月に約50人のインターンシップ生を受け入れた双日は一挙に拡大し、9月、11月、15年1月の計3回実施し、受け入れ枠を昨年の3倍に増やす予定だ。

●インターンシップが“青田買い”の場に


 インターンシップが事実上の“青田買い”の採用活動の場と化しているのが実態だ。インターンシップには(1)1~2日の短期の企業広報型(事実上の単なる会社説明会)、(2)職場体験型(5日程度のアルバイトの雑務を行う)、(3)採用前提型(2週間~1カ月の長期体験)の3つがある。とくに(3)は採用に有利に働くが、選考によって絞られる狭き門となっている。その仕組みについて、広告会社の人事課長はこう語る。

「受入枠が限られるので書類選考で選別するが、ほとんどの企業が大学名で選考するのが一般的。地方の有名大学の場合は、都内の宿泊代プラス交通費・食事代と日当を支給する。これをAコースとすれば、Bコースは宿泊代を支給しないなど学生をランク付けする会社もある。とくに有名大学の研究開発を専攻している学生はメーカーで取り合いになっている。夏のインターンシップで内々定を出すか、次の秋冬にもう一度参加するように誘いかける企業もある」

 実際にインターンシップを実施すれば、社員をメンターとして学生に張り付けるなど職場に負担を強いることになり、大量の学生を受け入れることはできない。おのずと書類選考で特定の有名大学に絞られることになる。その中でこれはと思う学生がいれば、なんとかしてつなぎとめようとするだろう。仮に学生に内々定を出しても、来年10月の内定式までつなぎとめるには時間も相当長く、内々定を辞退する学生が増えることも予想される。