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朝日記者は誤報騒動をどうみる?なぜ起きた?上層部への批判と憤り充満、謝罪を後押しか

文=編集部
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 今回の社長会見後の朝日社内の様子について別の記者は「上層部に対して『ふざけるな』という憤りが充満している」といい、「なぜこのタイミングでの謝罪なのかがよくわからない。記者会見のことも直前まで一切知らされていなかった。現職社長のクビが飛ぶだけでは済まない」と批判するが、現在の上層部の体制では抜本的改革は厳しいのではないかと疑問を投げかける。

「今回の件により、今後取材などで現場の記者たちは取材拒否などの厳しい状況を強いられる可能性も高い。この際、膿を出し切って『解党的出直し』ならぬ『解社的出直し』くらいしないと信頼の回復は難しい。ただ、上層部のエリート意識はものすごいので、そこまでやることは絶対ないだろう」

●産経社内の反応

 ちなみに、前述のとおり朝日の東電撤退報道直後に産経はそれを否定する内容を報じたが、それを受け「朝日は産経に対し抗議文を送っていた」(産経関係者)という。その後も吉田調書をめぐって両社は真っ向から対立する内容を報じ、「朝日vs.産経」の様相を呈していた。結果として今回は産経に軍配が上がった格好になったが、産経記者は次のように危機感を示す。

「朝日社長の記者会見があった日、本社内ではお祭り騒ぎの編集部も出るほどで、幹部が編集部のフロアにまで降りてきて社員たちと喜んでいた。翌日の朝刊でもこれでもかというほど朝日を批判していたが、騒ぎすぎればその反動は自分たちに返ってくることがわかっていない。図に乗り過ぎると、どこかのメディアや組織が逆に産経の誤報記事を持ち出してきて、朝日と刺し合いになる」

 一連の騒動をめぐる朝日の対応について、服部孝章・立教大学社会学部教授は次のような見方を示す。

「検証報道・訂正まで30年以上、検証報道をめぐる社長記者会見までほぼ1カ月。そして謝罪。なんとも悠長な時間。この間、少なくとも朝日は検証作業を進めていたはずだが、私には8月5~6日に掲載された特集記事からは何を言いたいのか、どの記事のどの部分を取り消すのか、全国の学校図書館や公立図書館に収蔵されている同紙の縮刷版を再読した場合、どこが取り消されたのか極めて不明だ。少なくとも、朝日社長の記者会見当日、テレビ朝日の『報道ステーション』が当日の新聞ラテ欄でも告知していたように、慰安婦問題を50分ほどの特集のようなわかりやすい報道を心がけるべきであったのではないか。時間は十分あった。でも、朝日バッシングの集中砲火を浴びることを予測していなかったのかのような同社幹部の対応は、読者をとりわけ愛読者を失望させるだけでなく、ナショナリズムの旗に結集する政治家や言論人そして報道機関に『塩』を贈ったことも確認せねばならない。いまから、検証や謝罪までの経過を第三者委員会に委ね判断を仰ぐだけでなく、自らの紙面で当該報道そして検証に関わった個々の記者の声を伝えるべきではないのか。そして、関係者が国会に参考人招致を防ぐためにも、自助努力を重ね、その努力の跡を紙面で繰り返し伝えるべきではないのか」
 
 いずれにせよ、メディアは一方的に朝日を批判するだけではなく、今回の騒動を契機として誤報を抑止するための仕組み・体制づくりが求められているといえよう。

 11日の会見で木村社長は、問題となった記事掲載に至った理由について、「秘匿性の高い資料だったため、(吉田調書を)少数の人間の目にしか触れないようにしていた。その結果、チェックが甘くなり、検証が遅れたと反省している」と釈明。また取材の過程において「命令に背いた人がいたという思い込みがあった。職員に取材はしたが話は聞けなかった」と説明している。また、朝日としての思惑や意図があったのではないかとの指摘に対し、「意図的な記事ではない」と否定している。
(文=編集部)

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