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やっかいな相続問題、どう防ぐ?高額費用、遺言が無効や、かえって争い生む危険も

文=久保正昭/弁護士・CFP
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 金融機関信託にかかる費用は、大きく分けて申請時と年間管理費、そして遺言執行時の3種類ある。しかし、金融機関ごとに少しずつ金額は異なっており、申請する前には十分に検討するべきだろう。申請時の費用は30万円台が一般的で、ほとんど差はない。年間管理費も5000円台で、ほぼ横並びだ。大きく違うのは、遺言執行費用だ。財産に応じて1~3%の範囲だが、財産の額が大きくなればなるほど、費用に差がつく。信託銀行では、最低報酬額も108~160万円と幅がある上、地方銀行が80万円台なのに比べて高額だ。諸費用を含めると、少なくとも200万円はかかると考えたほうがいいだろう。10億円ほど資産がある場合は総額800~1000万円ほどになるため、十分に検討するべきだ。

●銀行以外の信託費用

 これに比べて、弁護士や司法書士の遺言執行報酬は格安だ。銀行などの大手企業と異なり、将来にわたって安心・安全かといえば疑問はあるが、銀行に多額の報酬を払いたくない場合には、一考の価値はあるだろう。

 弁護士の報酬額は自由化されているため事務所ごとに差が大きいが、20万円台から受任している弁護士もいる。加えて、財産に応じて相続財産の1~3%を加算するのが一般的だ。また、司法書士は総額30万円から相続財産の1%程度の事務所が多いといわれている。

 大手の信託銀行は、担当者が数年ごとに異動するなど深い信頼関係を継続できないことや、相続人が遺言に納得できない場合に、執行を依頼せずに相続人間で遺産分割協議をしても規程通りの執行報酬を要求されることが多いため、十分に検討する必要がある。

 メリットとデメリットをまとめると次のようになる。

・銀行…費用が高額。将来にわたって安心して資産を預けられる。信頼関係を構築するのが難しい場合もある。
・弁護士…報酬はバラつきがある。相続人間に争いが生じた時に、速やかに対応してもらえる。
・司法書士…費用が安い。訴訟対応に慣れている事務所と、まったくできない事務所がある。
・税理士、行政書士など…報酬に差がある。訴訟対応はできない。

 遺言書の作成や信託の制度など、上手に資産を家族に残すことで“争続”を避ける方法を元気なうちに検討しておくことが、一家の大黒柱には重要だ。
(文=久保正昭/弁護士・CFP)

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