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ヨーカ堂、正社員半減&パート中心経営の衝撃から2年、パートの正社員登用へ大転換

文=編集部

ヨーカ堂、正社員半減&パート中心経営の衝撃から2年、パートの正社員登用へ大転換の画像1イトーヨーカドーの店舗(「Wikipedia」より/ITA-ATU)
 セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のスーパー大手、イトーヨーカ堂はパート従業員を正社員として登用することが9月、明らかとなった。同社には約3万6000人のパートが在籍しており、これまで勤務地域を限定した契約社員に登用する仕組みはあったが、契約社員から正社員に引き上げる制度を導入する。正社員になれば、60歳の定年まで契約更新なしに働ける。本人の希望や勤務実績で対象者を選定し、まずは9月中に35人を正社員とする。年1回のペースで、複数店舗の運営を指導するトレーナーや店長、本部の管理職などに登用していく。

 小売り・外食業では深刻な人手不足で、多様な働き方を人事制度として取り入れ、有能な人材を囲い込む動きが広がっている。パートの正社員への登用は大きな流れだ。

 2012年9月、ヨーカ堂は正社員を半分に減らし、従業員のパート化比率を77%から90%まで高める方針を打ち出し、小売業界に衝撃を与えた。16年2月期までに8600人いた正社員を半減させると同時に、パートを2万8000人から7000人増やして3万5000人にする。パートの採用拡大で人件費を7%、100億円削減するというものだった。当時セブン&アイHDの鈴木敏文会長兼CEOは、改革の狙いをこう語っていた。

「今回は一大改革。スーパーのあり方を全部変える。イオンやイズミヤが利益率を維持できるのは、とっくに従来型の総合スーパーの運営に見切りをつけたからだ。ショッピングセンター事業を中核に据え、総合スーパーの“敵”だった専門店を導入。その集客力を取り込んだ事業モデルに転換した」(12年10月3日付日本経済新聞より)

 ヨーカ堂の基本形は、衣食住の売り場を揃えた総合スーパー(GMS)である。収益構造を転換し、総合スーパーの運営を抜本的に見直す。その答えがパートの手でGMSを運営するというものだった。ヨーカ堂のパート従業員は、リーダー、キャリア、レギュラーの3段階に分かれている。大改革では、全体の10%弱にまでリーダーを増やし、正社員を半減させた後の業務をリーダーに肩代りしてもらうという。

 ヨーカ堂の大改革は聖域だった正社員の見直しに踏み込む一方で、パートを徹底的に鍛えて戦力化する点に特徴があった。店長もパート、売り場の責任者もパート、現場店員もパートというパート中心の運営でGMSの再生に挑むつもりだった。単なる人件費の削減ではなく、日本の雇用形態を根底から突き崩しかねない改革だった。

●業績大幅改善

 この取り組みは、業績にどう反映されたのか。改革前の12年2月期と、改革進行中の14年2月期の単独決算を比較してみると、売上高は1兆3342億円から1兆3111億円へ231億円減少する一方、販売費及び一般管理費は3509億円から3357億円へ152億円減少した。そのコスト削減効果で、当期純利益は5億円から53億円へと10倍に増えた。セブン&アイHDの14年2月期の純利益は1756億円と最高益を更新し、利益の大半はセブン-イレブン・ジャパンによるものだが、赤字転落寸前だったヨーカ堂の業績が改革で持ち直しつつあることがうかがわれた。

BusinessJournal編集部

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