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マンション向け電力ビジネスでトラブル頻出 停電リスク隠し「訴訟辞さない」と導入迫る

文=小倉正行/国会議員政策秘書、ライター
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オリックス電力から住民を説得するための文書案として2パターンが提示され、一方は『訴訟も辞さない』旨の文言があり、他のマンションでも効果はあったとのことである」(導入検討マンション管理組合理事会議事録より)

 そのオリックス電力が指南したとみられる文書は、次のような文案となっている。

「今後も『変更手続書』をご提出いただけない状況が続く場合、前述の区分所有法上の共同利益に反する行為として訴訟も辞さないと3月の理事会で結論に至りました。(略)期日までにご提出の確認ができない場合は、次期総会にて訴訟の準備に入らせていただきますこと、ご容赦願います」

 この問題は国会でも問題となり、「分譲マンションの高圧一括受電導入における諸問題に関する質問主意書」(紙智子参議院議員)が内閣に提出された。この質問主意書の中で、「管理組合総会での高圧一括受電導入の議決は、住民の民間電力会社との契約行為に対してもその議決の効力が及ぶのか」との質問に対して、政府は次のように回答している。

「一般論として、区分所有者集会の決議事項が、共用部分の変更または共用部分の管理に関する事項に該当するとして、それが専有部分の使用に特別の影響を及ぼす時は、その専有部分の所有者の承諾を得なければならないとされており、当該所有者の承諾を得ない決議は効力を生じない」

 要するに、仮に管理組合の総会で高圧一括受電導入が議決されたとしても、それはマンションの共用部分にしか適用されず、マンション住民の専有部分には住民の同意がなければならないとしている。国土交通省の担当者も、「仮に訴訟になっても、契約締結を拒んでいるマンション住民が負ける可能性は低い」との見通しを示している。

●停電リスクと、その回避策

 では、高圧一括受電導入マンションの停電リスクはどうであろうか。2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故に端を発する計画停電で、停電リスクがいかに国民生活に困難をもたらすかが明らかになった。特に、在宅医療の普及により、近年増加するALS人工呼吸器、電動ベッド、加温加湿器、心電図計、酸素供給器、経皮酸素モニターなど電力で生命の維持を図る療養者にとって、停電リスクは命にかかわるのであり、あってはならないものである。また、停電リスクは、エレベーター停止による利便性の低下、救急搬送や消火ポンプ等への対応、オートロックやインターホン等の停止によるセキュリティの低下、給水ポンプ停止に伴う水道水、トイレの停止による利便性の低下、冷蔵庫、エアコンの停止、パソコン、インターネット、電話の利用停止などさまざまな障害をもたらす。

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