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ダイエットは、うつになる可能性を高める?ロンドン大学の最新研究で判明

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必死にダイエットしても、うつになってしまっては意味がない
 脂肪が過剰となる肥満は、万病の元とまでいわれ、社会的には好ましいこととは思われていない。もちろん見た目の体型やバランスも悪く、肥満に負のイメージが付きまとうのは洋の東西を問わず、さらに何世紀もの時を経ても、もはや変わることはないだろう。
 
 実際、肥満は糖尿病、高血圧症、高脂血症などの生活習慣病を引き起こす原因でもあり、痛風や腰痛にもなりやすく、さらには最近注目されている睡眠時無呼吸症候群にもなりやすいとされる。この点から、体重を減らすことは健康維持にとって好ましいことというのは医学的には当然の認識となっている。

 だが、肥満者における体重減少が、うつ病などのリスクを高める可能性があるという、やや意外な結果が最近の研究から明らかになりつつある。

 これはロンドン大学公衆衛生・疫学部門の研究結果として最近発表されたものだ。同研究では、ヒトの肥満度を表す指標・BMI(体重÷身長の2乗)で、イギリスでは太り気味と判定される25以上(30以上で肥満)の1979人(年齢50歳以上)を追跡した。ちなみに日本ではBMIが25以上で肥満と定義している。
  
 追跡開始時から4年間で5%以上体重が減少したのは278人、5%以上体重が増加したのは293人、体重変化が増減とも5%以内は1408人。この3群に分けて、追跡開始時と4年後におけるさまざまな指標を比較した。
 
 収縮期血圧値140mmHg以上の高血圧患者の割合は、体重減少グループでは28%減、体重増加グループでは逆に18%増、体重変化が小さいグループでは4%減少した。また、脂質異常症の指標ともなるトリグリセライド(通称・中性脂肪)が7m mol/l以上の高トリグリセライド血症患者の割合は、体重減少グループでは47%減、体重増加グループではやはり5%増、体重変化が小さいグループでは13%減少した。高血圧、高トリグリセライド血症ともに生活習慣病の最たるもので、これらは非常に好ましい結果だ。
 

●過度のダイエットや食事制限はうつの原因になる


 一方、これらの対象者全員に対して、アンケート式評価尺度CES-Dというものが実施された。世界的に、うつ病のスクリーニングに使用されているもので、生活に関する不安や社会関係などについて8項目の問いを設定し、それに対する回答を点数化するのだ。

 この結果では、抑うつ状態と判定された人の割合は、体重減少グループでは289%増、体重増加グループでは62%増、体重変化が小さいグループでは86%増と、体重減少グループで著しく増加していたという。
  
 研究グループの分析では(1)体重減少が抑うつ状態を引き起こしている、(2)抑うつ状態が体重減少を引き起こす、(3)体重減少と抑うつ状態が同じ原因で起こっている、の3つの可能性が考えられるが、(1)や(2)は十分起こり得るものとしている。例えば、体重をコントロールすることは日常での食事制限を伴うことも少なくないため、それが精神的ストレスにつながることは一般的であり、逆に抑うつ状態は食欲や日常生活動作での減退へとつながり、この結果体重が減少するということになる。
 
 ただ、現時点では今回の結果を明確に説明できる特定の原因は見つかっていない。このため、研究グループではあくまで「体重減少は抑うつを引き起こす可能性があることに十分留意すべき」という警告にとどめている。
(文=チーム・ヘルスプレス)