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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」(10月20日)

今夏の異常気象、消費再増税判断を“惑わす”可能性も 日照時間とGDPの相関関係

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「家計調査 14年8月分速報」(「総務省HP」より)
 今年の夏は大型台風等の影響もあり、日照不足に見舞われている。特に、7-9月期の日照時間は大阪で前年を▲20.5%下回った。また、東京でも同期は昨年に比べて曇りや雨の日が多く、日照時間が前年比▲6.7%減少した。今夏に起きた日照不足では、野菜などの農作物の作況が悪化し、食料品の高騰を通じて個人消費に悪影響を及ぼした。このほか、夏物衣料の売り上げ不振や外出を伴う娯楽の入場者減等により、百貨店や一部のレジャー施設では売り上げを押し下げる要因にもなった。このように、日照不足は各業界に様々な影響を及ぼしたことが想定される。

 事実、日照不足が経済に及ぼす影響も品目によって異なる。総務省「家計調査」への影響を見てみると、今年7-8月の消費支出全体では前年比マイナスとなっており、消費全体には悪影響を及ぼしていることがわかる。特に足を引っ張っているのは、天候不順というよりも消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動が出ている「住居」となっている。しかし、次に大きく減少しているのが、冷暖房器具などが落ち込んだ「家具・家事用品」、パック旅行費などが落ち込んだ「教養娯楽」、交際費などが落ち込んだ「諸雑費」、自動車等維持費が落ち込んだ「交通」といった季節性の高い品目や外出を伴う品目に関する支出が減少したことがわかる。

●実質家計消費と日照時間の相関関係


 そこで、国民経済計算を用いて7-9月期の実質家計消費の前年比と東京・大阪平均の日照時間の前年差の関係を見ると、両者の関係は驚くほど連動性があり、同期は日照時間が低下した時に実質家計消費が減少するケースが多いことがわかる。従って、単純な家計消費と日照時間の関係だけを見れば、日照不足は家計消費全体にとっては押し下げ要因として作用することが示唆される。

 ただ、家計消費は所得や過去の消費などの要因にも大きく左右される。そこで、国民経済計算のデータを用いて気象要因も含んだ7-9月期の家計消費関数を推計すると、同期の日照時間が同期の実質家計消費に統計的に有意な影響を及ぼす関係が認められる。そして、過去の関係からすれば、同期の日照時間が▲10%減少すると、同期の家計消費支出が▲0.4%程度押し下げられる。

 従って、この関係に7-9月期の日照時間を外挿して、同期の個人消費への影響を試算すれば、日照時間が前年比でそれぞれ▲14.5%減少することにより、同期の家計消費はそれぞれ前年に比べて▲4,190億円(▲0.7%)程度押し下げられることになる。ただし、家計消費が減少すれば、同時に輸入の減少等ももたらす。このため、こうした影響も考慮し、最終的に今夏の日照不足が実質GDPに及ぼす影響を試算すれば、輸入の▲949億円減少を通じて、▲3,241億円(▲0.2%)ほど実質GDPを押し下げることになる。このように、日照不足の影響は経済全体で見ても無視できないものといえる。