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短期連載 苫米地英人の『騙す脳』その2

“信用創造”“実質元本保証”“ハイリスク・ハイリターン”……「人を騙して儲ける」銀行や証券会社の甘言

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苫米地氏の新刊『「騙す脳」を作る』
 

●『騙す脳』の巧妙さは『銀行』の手口を考えれば明らかだ

 前回は、これまで「騙し」が生物の持つ能力であること。人類の歴史は「騙し」の歴史であることに触れた。

 今回は、もっと身近な「騙す脳」の狡猾さに触れたい。皆さんは日常生活で「銀行」を使うだろう。給与の振込、生活費の支出、果ては住宅ローン、保険。お金は必ず「銀行」を経由しているといってもいいだろう。認知科学者の苫米地英人氏が指摘する。

「銀行の主業務は、利息をつけて預かったお金を、預かった時よりも高い利息をつけて貸すことである。つまり銀行は、預かり利息と貸付利息の差額で儲けています」

 銀行は自身が保有する元本の10倍の金額を貸してよいことになっている。実際には8割なのだが‥‥ここに「騙し」がある。

 100万円を銀行に預けると、0.02%の利息であれば、預金者の儲けはわずか200円。ところが、貸付利息は3%から、カードローンになれば14%である。

 銀行は黙っていても大儲けできるのだ。なぜ銀行は、100万円の預金に対して10倍ものお金を貸すのか――。

「銀行には『信用創造』が許されています。『信用創造』は銀行の貸し出し行為によって、世の中に出回る貨幣の供給量が増加することです。ありもしないお金があるかのように信用されてしまう現象なのです」(苫米地氏)

 著書『「騙す脳」を作る』(徳間書店)の中で苫米地氏はこう指摘しながら、疑問を呈する。

「なぜ、誰もがそのことに疑いを持たないのか」 と。

●銀行ばかりではない。金融こそ『騙す脳』の象徴だ」


 預けたお金の10倍ものお金を貸す背景には、銀行にだけ許された「信用創造」。その正体とは何か? 苫米地氏が解説する。

「要するに、経済というのは創造された信用の上に成り立っているという考えです。しかし、これは一種の『詐欺』です。この概念を生み出したのは経済学者たちで、お金を出させて『信用創造』を実行したのは古くからのヨーロッパの銀行家たちです」

 信用創造といえば聞こえがいいが、むしろ「信用貨幣」と言った方がわかりやすいだろう。何もないところに「信用」という言葉を用いることで、あたかもそこに価値があるかのように見せかける「騙し」のテクニックなのだ。

 現在では、証券の世界に広く応用されている。証券会社からこんな売り文句を聞いたことはないだろうか?

「元本が事実上保証のうえ、金利がつく可能性大です」

 考えて欲しい。元本は「事実上保証」で、金利がつく「可能性大」なのである。まさに「信用」でしか成立し得ないことが、言葉の上では「確かさ」にすり替えられている。苫米地氏は、こんなスキルを紹介する。

「金融商品の営業マンが『ハイリスクだけどハイリターンです』と言ったら、『ハイリターンだけどハイリスク』と頭の中で言い換えてみるのは、言葉の騙しに呑まれないコツでしょう。証券会社に勧められるまま株を買って、大損し元本割れしても証券会社は損をしないシステムです。おかしいと思うのは私だけでしょうか?」

「騙し」に気づくには、「騙し」の構造に踏み込まなければならない『「騙す脳」を作る』の中には、こうした多くの解説がなされているのだ。
(文=編集部)

『「騙す脳」を作る: 騙されないための唯一の防御法』苫米地英人著
(徳間書店/1400円+税)
 一向に減ることのない金融詐欺事件や振り込め詐欺等々、身近な社会生活から、はては政治や経済、外交、マスコミに至るまで騙しの構造はエスカレートしている。ではこんな時代をどう生きればよいのか。なにより騙しの仕組みを理解しておくことだ。そうでないと知らないうちに騙しの構造にはめられてしまう。数々の事例から自ら「騙し脳」を作り、転じて騙されない方法を天才認知科学者Dr.苫米地より学ぶ。