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鈴木貴博「経済を読む“目玉”」第23回

GPIFの年金資産、100%株式運用が最も良い?株式市場全体の上昇にも寄与?

文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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●TOPIX連動が最適?

 では、なぜ株価は長期的には成長するのか?

 それは30年のような長い期間では、世界経済は必ず成長するからである。そう、市場全体の株式に投資をするということは、世界経済の成長に投資をすることと同義なのである。なので、最初のポイントとしては、年金を100%株式で運用するのであれば、市場全体に投資をするということを絶対的な前提条件にすべきなのである。この条件が満たされない場合、特定の企業や業界の株式を購入しろといった政治的な思惑が介入してしまう。もちろん個別の投資に年金を巻き込んでしまえば、国民の資産が減ってしまうことはいうまでもない。

 では、具体的にどのような投資ポートフォリオが最適かといえば、MSCIワールド・インデックスのような世界全体の株式に連動するポートフォリオということになる。いや、ワールド・インデックスでは先進国だけが対象のため、新興国も含めたすべての株式市場を網羅するインデックスがより良いということになるはずだが、筆者はこの常識にも異論を挟みたい。

 第2の前提として、年金資産の運用を世界の株式全体のポートフォリオ連動にするのではなく、日本の株式市場だけ、わかりやすく絞ればTOPIX連動にしてしまうのがいいというのが筆者の意見である。

 昔から、経済が成長するから株価が上がるのか、それとも株価が上がるから経済が成長するのか、という議論が存在する。一般的には株価は経営の結果であるべきなのだが、実際は株価が下がると資金調達が困難になったりして経営の足を引っ張るものだ。一方で株価が順調に上がっていれば、企業は長期的な投資もやりやすくなり、経営は良い方向に回っていく。

 年金資産もまた、全体で130兆円もの規模の資金が毎年一定の量でTOPIXに連動する株式に流入すると、東証の株価は確実に上がっていく。買う需要が大規模に増えるから、株価が上がるのは当然である。そうすれば、バブル崩壊以降トレンドがぱっとしなかった日本株は、継続的に上昇基調に戻っていくはずである。

●株式市場全体の成長にもつながる?

 実際に、このような事実がある。

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役

事業戦略コンサルタント。百年コンサルティング代表取締役。1986年、ボストンコンサルティンググループ入社。持ち前の分析力と洞察力を武器に、企業間の複雑な競争原理を解明する専門家として13年にわたり活躍。伝説のコンサルタントと呼ばれる。ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)の起業に参画後、03年に独立し、百年コンサルティングを創業。以来、最も創造的でかつ「がつん!」とインパクトのある事業戦略作りができるアドバイザーとして大企業からの注文が途絶えたことがない。主な著書に『日本経済復活の書』『日本経済予言の書』(PHP研究所)、『戦略思考トレーニング』シリーズ(日本経済新聞出版社)、『仕事消滅』(講談社)などがある。
百年コンサルティング 代表 鈴木貴博公式ページ

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