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2つの事例から見る、大企業が陥る“組織の病”からトヨタを復活させた「劇薬」とは

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2つの事例から見る、大企業が陥る“組織の病”からトヨタを復活させた「劇薬」とはの画像1※画像:『トヨタの反省力』著唐土新市郎/泰文堂

 「トヨタ」といえば言わずと知れた日本が誇る自動車メーカーで、トヨタの工場で生まれた「トヨタ生産方式」は多くのビジネス書の題材となり、「改善」「見える化」などビジネスの現場にいる人間なら誰もが知っている言葉を生みだしてきた。

 そんなトヨタだが、もちろん“完璧な会社”ではない。とことん企業研究をしてみると、数限りない失敗と危機を繰り返した企業史が出てくる。船井総研取締常務執行役員で上席コンサルタントの唐土新市郎氏の『トヨタの反省力』(泰文堂/刊)は、トヨタの失敗史を辿りながら、その失敗をいかに成長に結びつけたかを明らかにする一冊だ。

 本書を読むと、トヨタは特別な会社ではなく、よくあるような大企業と同じ特徴を持っていることが分かる。ただ違うのは、彼らは失敗を反省し、カバーするスピードが速いということだ。

 ここでは大企業が陥りがちな組織の「病」をトヨタはいかに克服したのか、2つの事例を元にご紹介しよう。

■大企業病に陥ったとき、トヨタはどうした?

 1990年前半、組織の肥大化とともに硬直化が進み、“石橋を叩いても渡らない”という大企業病に陥ったトヨタ。社員は上司のほうばかりを向き、意思決定は遅い。トヨタの国内シェアは40%を割りこみ、新興国への進出もライバルの後塵を拝していた。

 その打開策を打ったのが、1995年社長に就任した奥田碩氏だ。この頃、社内では、1999年末の発表を目標にハイブリッドカーの開発が進められていたが、奥田氏はなんと発売を前倒しするように命じた。それも「2年以内に完成せよ」と。

 発売日を前倒しし、逆算して開発・製造にあたらせる。ゴールが決まった以上、四の五のを言い合っている暇はない。技術陣は必死になった。そして1997年、ハイブリッドカー・初代プリウスが発売されたのだ。

 劇薬ともいえるこの「発売日前倒し」を実行した奥田氏、若い頃は上司に食ってかかるような「はみ出し者」だったそうだ。そんな人物をトップに据えたトヨタのすごさが分かるエピソードだ。

■トヨタに派閥がないのはどうして?

 「3人寄れば派閥ができる」といわれるくらい、人間は派閥好き。大企業ならばなおさらだろう。トヨタは30万人以上の社員を抱えるマンモス企業、もちろん派閥もあるだろうと思いきや、実は派閥が話題になることはあまりない。トヨタ経営陣の内部抗争や派閥の対立などといった記事を見ることはまれだ。

 ではなぜそんなことが可能なのか? 仮にあったとしても、なぜ深刻な問題にならないのか? 社の求心力となるものの存在(豊田家)と社の理念(「より良いクルマをつくる」という経営ビジョン)とともに大事な人事制度がある。

 それは、異動の際にその部署のエースを異動させるということ。エースがいると、その組織はその人に甘えてしまい、成長を鈍ぶらせてしまうことがあるだろう。だから、各部署のエースを出して若い新たな力の成長を期待するのだ。

 トヨタに派閥はないものの、部署間や工場間の競争はとても激烈。その競争のエネルギーを会社全体の活性化に転じさせるのが実に上手だと唐土氏は絶賛する。また、普通ならネガティブな印象を持たれる異動も、こういう仕組みならば名誉になる。トヨタ経営陣の組織作りの「妙」がそこにあるのだ。

 本書では6ステップで「トヨタの成長」の本当の秘密を分析するが、その軸になるのが「反省力」だ。トヨタでさえも失敗を繰り返し、反省をし、それを成長につなげてきた。だからこそ、『トヨタの反省力』のケーススタディはどんな企業にも当てはまるはず。現状を打開するヒントがつまっている一冊だ。
(新刊JP編集部)

【リンダパブリッシャーズ 書籍紹介ページ】
http://lindapublishers.com/archives/publications/toyotanohanseiryoku

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※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

BusinessJournal編集部

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