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山本康博「なぜあの商品はヒットしたのか/しないのか」(11月7日)

15年ヒット商品は?消費動向の前提条件と「ヒットの理論」から“経験的”大胆予想

文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役

●商品がヒットするための条件

 潜在ニーズを掴むこと、「それそれ、それが欲しかったんだ!」と、消費者自身も気がついていないニーズを捉えた商品、複数の不便さを解消する商品・サービスがヒットすると予想される。

 ヒット商品となるためには、トライアル購入だけでは不十分で、購入者の好意度とブランドに対する忠誠心を獲得し、リピート率が高くならなければなればならない。消費者の購入リピート率を上げ、ソーシャル・ネットワーキングサービス(SNS)などで拡散され、離反率を下げることができればヒット商品となる。近年で代表的な例を挙げるならば、アップルのスマートフォンiPhoneだろう。

●マーケタ―間でも異なるヒット予想の考え方

 もちろんヒット商品を生みだすのはたやすいことではないが、ヒットを妨げる要因として、社会全体の消費行動や景気の流れを把握する感覚が、メーカーと広告代理店で異なる点が挙げられる。筆者自身30年近くマーケタ―をしてきて、広告・販促をするマーケタ―と、メーカーのマーケタ―というのは、そもそも思考回路が違うのではと強く感じている。

 広告代理店出身のマーケタ―は、分析者としての感性は優秀だが、実際の消費者の行動パターンには調査では決してわからない“想定外”の行動が多いという現実を実感していないケースが多い。なぜなら、商品やサービスを産み出し育てるという、消費者行動と潜在ニーズを捉える難しさ、苦労を経験し、本当に痛い思いをするという経験をしていないからではないか。そもそも広告代理店は、新商品がたとえ売れなくともお金は入ってくる。

 一方、メーカーはそうはいかない。社運をかけた商品であれば全社員総動員で必死に消費者へ提案する。失敗したら給与が減少し、極論すれば倒産だってあり得る。メーカーはそういう危機感を持ってるため、「消費者が何に困っていて、何に不満を抱いているのか?」を察知して、消費者さえ気がついていないことを見つける「将来を見通す目線」を持っている。

 そして、自分たちで消費者の生活様式をも変えてしまうような何か、「新価値」をつくり出していこうという発想から、「消費者に喜んでもらおう」という目で将来を見ている。

 以上のような根本的な発想の違いから、同じマーケタ―の間でも将来のヒット予想に開きが出るのではないか。

山本康博

山本康博

ビジネス・バリュー・クリエイションズ
代表取締役、損保ジャパン顧問。ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、日本たばこ産業、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本制作。1年以上継続した商品は計算すると3割以上、メーカー側でマーケティング実績35年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、2016年スタンフォード大学 David Bradford 名誉教授、ボストンカレッジ Allan Cohen 教授の推薦書として、世界に向けて英著、 “Stick Out”a ninja in Japanese brand marketingを全世界同時発売開始。『Stick Out~a ninja marketer』(BVC)、現在ブレイク中で話題のAmazon書籍総合1位も獲得したベストセラー『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版)の一人として8月1日執筆など。

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