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企業スパイ映画『パワー・ゲーム』がヤバすぎる?ド迫力の上流vs下流階級の謀略戦

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映画『パワー・ゲーム』/(C)2013 PARANOIA PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED
 今、世界の富の4割以上を1%の富裕層が持つといわれる。良い大学に入って良い会社に行くというステップも、子供の頃からしっかりとした教育費をかけられる富裕層のほうが有利だとする調査データもあり、富裕層同士のコネクションで良い会社に就職できるので、良いポストは富裕層の間で回っているという見方すらある。

 11月15日公開の『パワー・ゲーム』はそんな上流階級の「パワー」を持つ人たちが、這い上がろうとする下層階級を使って繰り広げる謀略戦を描いた映画だ。舞台はIT系の巨大企業、激化する最新スマートフォン開発をめぐる争いの中で、そのアイデアを盗むためにスパイとして送り込まれる主人公の運命を描く。作家ジョセフ・フィンダーの全米ベストセラー小説『侵入社員』を原作に、舞台を現代に置き換え、デジタルな時代らしいスピード感のあるハイテクスリラーに仕上がっている

 IT系な話よりも産業スパイの泥臭い部分がストーリーの主題で、やりたい放題のトップたちが鼻につく。持てる者は自分たちがやりたいようにやり、持たざる者はその間隙を突いて、這い上がる道を探す。もちろん観客は上流階級に一矢報いる主人公の活躍を期待しているわけで、追い詰められた彼らがどのように反撃するかが注目だ。

 随所に盛り込まれるハイテクなアイデアにも注目したい。最初に主人公アダムがプレゼンする、自宅に帰るとテレビにつながるスマートフォンSNSは、アップルのiPhoneが自宅のiMacと自動的につながり、iPhoneを通して電話に出たり、iPhoneのデータを活用できる「Handoff」機能を連想させる。

 またアイコン社が開発中の「オキュラ」のフレキシブルディスプレイを採用したデザインや、人の生活のすべてを記録し、その情報を活用する機能などは、これからのスマートフォンの未来を感じさせるものとなっている。

 アダムを演じるのはリアム・ヘムズワース。ヒロインのエマには、一時期ジョニー・デップと交際していたといわれる典型的なアメリカン美女、アンバー・ハード。スマートフォン会社の二大巨頭にゲイリー・オールドマンとハリソン・フォード。さすがは重鎮らしく、非常に重厚。「IT業界の神」と、かつてその神に仕え、今はライバル企業のトップとなった男の姿は、実存のモデルを思い起こさせる。この2人の対決こそが、実はこの映画の本当の見所なのかもしれない。そしてアダムの父にはリチャード・ドレイファス。久しぶりに表舞台で見た彼は老いた今こそ素晴らしい。監督は『キューティ・ブロンド』(01年)のロバート・ルケティック。作品の多くがコメディ映画の彼にしては珍しいサスペンスもの。

 ハイテクなアイデア、垣間見える上流階級の生活、美女、スパイゲーム。さまざまな要素が詰まった娯楽映画の佳作は、11月15日から東京・新宿ピカデリーほかで全国公開される。
(文=矢橋司/フリーライター)

『パワー・ゲーム』
11月15日(土)新宿ピカデリーほか全国公開
(C) 2013 PARANOIA PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED
配給:東京テアトル ハピネット
http://power-game.jp/