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異色の働き方フェス、なぜ大盛況?多分野の社会人と若者3千人が対話、ユニーク企画満載

文=編集部
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 例えば、登壇者の一人で、『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』(三才ブックス)の著者・詩歩氏は、広告代理店で働きながら本を出版、後に退社して現在はフリーランスで働いている。そんな同氏は、今後の日本の働き方について「ウェブ上で自分をブランディングし、個人で働く人が増えるのではないか」と推測する一方、「自分の働き方には、まだまだ迷う。参加者の皆さんと一緒に、これからの働き方を考えていきたい」とイベントに期待を寄せている。

 横石氏が、ロックフェスのようにしたいと語るのには、いくつか理由がある。

「音楽フェスでは、特定のアーティストの音楽を聞きにいったとしても、ほかのアーティストの音楽に触れて、その良さを知ることがある。フェスには、そんな発見がある」(横石氏)

 何かのイベントに参加する場合、自分が気になっているテーマ以外の知識はほとんどないことが多い。働き方についても、現在は非常に多様化しており、自分に合う働き方を見つけるためには、まず多くの働き方を知ることから始まるのではないか。

 TWDWの企画は、トークイベントだけではない。例えば、仕事旅行社が手がける「仕事旅行」は、多様な仕事を体験できるプログラムだ。仕事旅行社代表取締役の田中翼氏は、次のように語る。

「今の働き方が自分に合っているかどうかわからない人は、そもそもどのような働き方があるかをよく知らない可能性がある。だから、まず多様な働き方を知ってほしい」

 一つの会社だけに勤めていると、他の会社ではどのような働き方があるのかを知る機会はあまりない。結果、転職して初めて働き方の違いを知ることになる。しかし、仕事旅行では、退職せずにほかの仕事を体験できるのだ。

 ほかにも、新しい働き方の実践者と飲みながら語り合える「しごとバー」、デジタルガジェットやウェブサービスなど現代の働き方におけるツールの展示、キャリア形成や子育て、健康など、女性が仕事をしていく上での悩みや迷いを相談できるブースもある。

●働き方は「はしご型」から「ジャングルジム型」へ

 従来のキャリアのつくり方は、入社してから定年まで一直線に働く、いわゆる「はしご型」であった。一方、最近増え始めた働き方は「ジャングルジム型」で、同じ業界内での転職、起業をはじめ、活動領域を一般企業からNPOに広げるほか、まったく別の仕事に転職するなど、終身雇用が当然とされてきた世代とは大きく異なる価値観のもと、自分なりの働き方を模索するようになった。

 横石氏が「テクノロジーの発達により、豊かな働き方ができるようになった」と語るように、インターネット系の仕事であれば、クラウドサービスを使うことで、どこにいても仕事ができるようになった。また、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の発達により、どこにいる人とも簡単にコンタクトが取れるようになった。何かを始めるにも情報を得るにも、昔に比べるとコストや手間がかからなくなった。もはや、オフィスがなくても働ける人という人も多い。

「近年、働き方が変化している背景には、テクノロジーの発達と東日本大震災が大きく関係していると思う。特に、震災をきっかけに人生の優先順位が変わった人も多いのではないか」と語る横石氏自身も、震災がきっかけで働き方が変わった1人だ。震災後、横石氏はそれまで働いていた会社を辞め、100日間の海外旅行に出て、帰国後に現在の会社を立ち上げた。

 横石氏が世界を旅する中で大きなショックを受けたのは、南米の人に「日本の若い人は不幸」と言われたことだ。その理由は「日本は景気回復の見通しも立たず、若い人は搾取されている。少子高齢化社会の中にあり、明るいニュースは少ないからだ」という。

 横石氏が「フェスをつくりたい」と語る、もう一つの理由がここにある。横石氏は、「確かに『未来は暗い』と言われるが、面白いことはあるということを皆で再認識したい」と力を込める。

「働き方をテーマにするイベント」と聞くと、堅そうなイメージはある。しかしTWDWは、そのようなイメージからはほど遠い。例えば去年のプログラムでは、自分の紹介文を肩に書いて新しい自分の“肩書”とするなど、遊び心に満ちている。「真面目で堅いイベントにすると、身構えてしまい、参加を躊躇する人もいるかもしれないが、『フェス』と呼べば楽しそう」というのも、横石氏がフェスにこだわる理由の一つだ。

「周りに集まる人の年収を平均すると、自分の年収になる」との話はよく耳にするが、横石氏は「年収と同じで、どのような働き方をするかも、周りの人の働き方から影響を受けている」と語る。

 例えば、TWDWを企画・運営するメンバーは50名以上いるが、皆ボランティアだ。そのうちの1人は、ボランティアとして参加するようになった経緯を次のように語る。

「去年、自分の将来や働き方について考えていた時に、たまたま渋谷でTWDWが開催されているのを見つけました。そこで大きな影響を受けて、今年はボランティアとして参加することになりました」

 TWDWのスタッフの中には、新しい働き方を始めた人や、働き方を模索している人もいる。そんなスタッフと意見を交えることができるのも、イベントの魅力の一つだ。本で読んだり、テレビで見るだけの知識と異なり、経験者から生の話を聞き、意見を交わす機会は貴重な時間となるはずだ。

 TWDWでは、働き方を考えるといっても、会社を辞めることを勧めているわけではなく、フリーランスや起業家のような働き方を推奨してもいない。フリーランスや起業という働き方は、自由度が高く話題にもなりやすいが、それが必ずしも幸せとはいえないからだ。例えば、フリーランスとして働いている人の中でも、最初こそ自由に気兼ねなく働いていたものの、収入の不安定さから再び就職した人もいる。つまり、誰にでも当てはまる「正しい働き方」などはなく、「少しでも多くの選択肢を知り、自分に合う働き方を自分の意思で選ぶことが大事」と横石氏は語る。

 まずはさまざまな働き方を知り、自分に合ったスタイルを見つけるきっかけとしてTWDWをのぞいてみてはいかがだろうか。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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