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住宅ローン、繰り上げ返済すると損?数字に関心が高い人ほど陥りやすい勘違い

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「Thinkstock」より
 年末に向けて増える家計相談のひとつに、「住宅ローンの繰り上げ返済と住宅ローン控除、どちらを優先させるべきですか?」という質問があります。ご夫婦の場合は、女性が繰り上げ返済優先派、男性が住宅ローン控除優先派に分かれることが多いのですが、どちらが正解なのでしょうか?

 例えば、借り入れ金額2000万円を35年返済、変動金利0.8%とするローンを組み、3年後に100万円のゆとりができたので、期間短縮型の繰り上げ返済を検討すると仮定してみましょう。前提条件として、今後のライフプランを考えた上で100万円の繰り上げ返済をすることに問題はなく、あくまでも現時点で繰り上げ返済をするといくら利息が浮き、住宅ローン控除がいくら減るのかという点において比較します(繰り上げ返済しなかったケースでは、その後もしないものとします)。

 繰り上げ返済をしようと考える時に、「住宅ローンの金利は0.8%だから、今はかなり安くローンを借りている。それに対して、住宅ローン控除はローン残高の1%相当額が返還されるのだから、1%の住宅ローン控除を優先させて今は繰り上げ返済をしないほうが得なのではないか」との疑問を持つ方が多いようです。

 上記のケースで、3年後に期間短縮型繰り上げ返済をすると、約29万円の利息を減らせる上、2年早く完済できるメリットもあります(繰り上げ返済による利息軽減効果の計算は複雑なので、金融機関やシミュレーションサイトなどを活用してください)。

 しかし、住宅ローン減税のほうは、3年後の残高1850万円の1%に相当する還付金18.5万円が、100万円繰り上げ返済しても17.5万円になるだけです。そして控除期間は最大10年ですから、100万円を繰り上げ返済することで戻ってこなくなる還付分は7万円分なのです。つまり、住宅ローン控除は10年間の残高と残年数に対するものであり、繰り上げ返済の効果は、ローンの残り期間全体の残高に対して影響を及ぼすものです。

 今回の試算では、現時点で繰り上げ返済をすることにより22万円の差がでましたが、実際にどれぐらいの差が出るのかは、借入金利や金利、繰り上げ返済の時期によっても異なります。変動金利の場合は、繰り上げ返済することにより将来の金利上昇に対する返済リスクを減らす効果もありますから、今の利率だけではなく、将来の金利変動も視野に入れて数字を見てください。
(文=前野彩/ファイナンシャルプランナー)

●前野彩
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士をはじめ、NPO法人金融知力普及協会インストラクター、一種証券外務員など、数多くの資格を持ち、マネーに関するセミナー・講演を各地でこなし、各種メディアへの出演実績があり、『ズボラでも大丈夫!書き込み式 一生役立つお金のキホン』『書けばわかる!子育てファミリーのハッピーマネープラン』(ともに日本経済新聞出版社)ほか著書も多数。FPオフィスwill代表。