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リクルート、“攻めの”減益で成長加速 3つの原則で海外事業実績重ねる 財務リスクも

文=福井晋/フリーライター

 リクルートが減益覚悟で販促メディア事業のIT戦略に注力しているのは、国内市場の競争が激化しているからだ。例えばネット予約人数が半年で倍増したというホットペッパーグルメを擁する飲食領域の場合、今期中間決算の売上高は前期比2.2%増の161億円にとどまっている。「食べログ」「ぐるなび」などライバルサイトとのクライアント獲得競争が過熱する中、既存クライアントを囲い込み、さらに新規クライアント獲得を図るには、従来のクーポン発行による集客支援から、さらに業務効率化支援まで踏み込み、クライアントとの関係を共存共栄の強固なものにしておく必要があるからだ。

●海外M&Aで自信深める

 国内はこうしたIT戦略で持続的成長が図れるとしても、「30年に主要3事業で世界一」の長期目標を掲げている同社にとって、これから重要なのは海外戦略だ。峰岸社長も13日の記者会見で「上場により1000億円を株式市場から調達し、借り入れを含め、中期的に7000億円の投資が可能になった。今後は海外M&Aを加速する。ターゲットは、売上規模1000億円以上の企業を想定している」と、海外事業の強化を明言している。

 これは海外M&Aに対する峰岸社長の自信の表れでもある。同社はこれまでに人材派遣事業で4社、人材メディア事業で5社、販促メディア事業で9社を買収、これら海外事業の売上高比率は、すでに全体の21.3%(14年3月期実績)に上っているからだ。

 峰岸社長の自信には、無論根拠がある。同社関係者は「当社のM&Aには3つの鉄則がある」と次のように説明する。

 1つ目は「2段階アプローチ」。まず売上高の小さな会社を買収して「リクルート流経営」を移植、買収先の業績が上がるか否か検証する。業績が上がれば「現地とリクルート流経営の親和性が立証できた」と判断し、2段階目の大型買収に突き進む。

 2つ目は「厳格な投資基準」。買収は対象企業の内部収益率(投資利回り)10%以上が原則。それ以下は対象外。

 3つ目は「仲介者任せにしない」。デューデリジェンス(買収先の企業価値評価)を経てターゲットを決めれば、峰岸社長あるいは事業会社のトップ自らが買収交渉に当たる。「トップ同士が何度も膝を突き合わせて互いの企業文化や社風を話し合い、ビジョンに共感してリクルートグループに入りたい会社だけを買収する」(前出関係者)

 ここが投資銀行など仲介者任せのM&Aで失敗を繰り返している企業との決定的な違いといえる。

 これらの鉄則を貫き、例えば主力の人材派遣事業では、10年に売上高が約50億円の米CSIカンパニーズをまず買収、利益率を10倍以上にした。次に売上高1000億円規模の米スタッフマークと米アドバンテージリソーシングを11年に買収した。買収額は3社合わせて約740億円だった。

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