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鈴木領一(すずりょう)のビジネスの超ヒント!第4回

自己啓発難民を量産する「思えば叶う」の欺瞞 嘘まみれの成功者達の物語、ノウハウの毒

文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー
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 筆者は彼に、「フェラーリが本当に好きなのか?」と質問すると、最初こそ「好きだ」と答えていたが、なぜ好きなのかという問いには、「成功者が乗っているから」「成功のシンボルで格好いいから」という理由を挙げ始めた。すかさず、「あなたはフェラーリが好きではないだろう」と指摘すると、彼は沈黙し、「そうかもしれない」と答えたのだ。

 フェラーリが「好き」だったら、もうすでになんらかの行動を取っているはずである。彼が毎日見ていた写真は、どこかの雑誌から切り抜いたものであり、自分で撮った写真ではなかった。本当に好きならば、自分で実物を写真に収めているはずである。しかも彼は、フェラーリに一度も触ったことがない、と答えていた。本物のフェラーリ好きが聞いたら驚くはずである。この日本では、実物のフェラーリを見ようと思えば、いくらでも手段がある。それすらしていなかったのに、彼はフェラーリが「好き」なんだという錯覚に陥っていたのだ。

 彼も従来の自己啓発ノウハウに毒された人物の一人だった。成功者はこうあるべきだ、というイメージを優先し、自分が本当に好きなものは何か、ということに真正面から向き合うことがなかったのだ。彼はフェラーリが好きではないばかりか、自動車自体に興味を持っていなかった。

 彼は筆者のコーチングの後、「子供に勉強を教えること」が好きであることを発見し、今では教師として活躍している。彼が乗っている自動車は中古の国産車だが、彼は気にすることなく、現在の仕事に夢中で毎日充実して暮らしている。

●本当に好きなことを見つける方法

 多くの人は、自分が何を好きなのかわからずに過ごしている。だが、それを発見する方法はある。それが、筆者が提唱する「1%アクション」である。1%アクションとは、今すぐにでもできる行動のことである。

 メールを出す、インターネットで調べてみる、人に会ってみる、というわずかな行動をすることで、心からザワザワと何かが湧いてくることがある。その時こそ「好き」という感覚に触れている時である。心がザワザワと反応したなら、何も考えずにまた1%アクションを実行しているといい。そのうちに心の奥から突き動かされるように夢中になる何かを発見するはずだ。

 もしくは以前夢中になったことで、今では心の奥底にしまってしまったことをあらためてやってみるのもよい。忘れたつもりでも、もう一度火をつけてみると、また夢中になっていくものである。このように、自分の中にある「好き」の感覚を研ぎ澄ませておくと、ビジネスでも夢中になれるものを発見しやすくなるのだ。

 現代では、あまりにも多くのルールや常識に縛られて、本来持っていた無邪気な感覚を鈍化させてしまっている。感度が麻痺してしまったため、夢中になれるものが目の前にあっても気づかなくなっているのだ。

 漠然とした未来への不安に苛まれ、その心の隙間に入り込んだ無意味なノウハウに人生を振り回されてしまう。現実離れしたノウハウもまた、あなたを縛るルールとなり、あなたの自由を奪っているのである。

 あなたを解放し、あなたの本当の夢を発見するため、今日できるなにげないことからスタートしてみよう。偽りの夢から目を覚まそう。そして、夢を待ってはいけない。行動することで夢を発見できるのだ。
(文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー)

鈴木領一/コンサルタント

鈴木領一/コンサルタント

 思考力研究所所長。行政機関や上場企業の事業アドバイスをはじめ目標達成のためのコーチングも行っている。プレジデント誌などビジネスメディアへの記事寄稿多数。また100の結果を引き寄せる1%アクション(サイゾー刊)は、氏のコーチングメソッドを初公開した書籍で、主婦から経営者まで幅広い層に支持されロングセラーとなっている。また、出版プロデュースの活動も行い、代表作には小保方晴子氏の『あの日』(講談社刊)がある。

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