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ヤバすぎるサウジアラビア 自動車曲芸運転横行で人身事故世界一、ベンツ乗り捨て多発

文=大坪和博/PLAN G 代表
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『Arab Drifting』(無料動画共有サイト「YouTube」より)

 11月27日、石油輸出国機構(OPEC)はオーストリア・ウィーンで開催された定例総会で、1日当たり3000万バレルの生産水準を維持することを決定した。この背景には、米国のシェールオイル革命があるといわれている。21世紀に入り、米国やカナダでシェール層から大量に原油や天然ガスを採掘できるようになったことで、原油は世界的に供給過剰となり価格が大幅に下落した。このような状況下でもOPECが減産に踏み切らなかったのは、サウジアラビアをはじめとする財政力のある湾岸諸国が現状維持の姿勢を押し通したためだといわれている。

 日本にとって最大の原油輸入相手国であるサウジアラビアの国内事情は、意外と知られていない。今回は、無料動画共有サイト「YouTube」で公開され話題を呼んでいる映像から、リッチでワガママなサウジアラビア国民の一面を追ってみたい。

 サウジアラビアの財政状況を概観してみると、オイルマネーによるキャッシュリッチな国という側面が見えてくる。

 国際通貨基金(IMF)が10月に発表した「World Economic Outlook Databases」には、世界各国の財政状況の統計データがまとめられている。

 この中でサウジアラビアの政府純債務残高は10月時点推計で、▲1兆6400億サウジアラビアリヤル、対GDP比は▲56.5%となっている。債務がマイナス(▲)で表記されているということは、財政剰余金を意味する。1米ドル=3.75リヤルの固定相場制なので、1兆6400億サウジアラビアリヤルは4373億米ドルとなり、1ドル=120円で換算すると52兆4760億円だ。今年度の日本の一般会計の歳入は約95兆8000億円、そのうち税収が約50兆円なので、それを上回る資金が剰余金として積み上がっている状況に驚く。

娯楽が少ないサウジアラビア、若者は自動車に傾倒

 そんなオイルマネーあふれるサウジアラビアの国民は、敬虔なイスラム教徒だ。過去には、国内に電話やテレビを導入した国王が、コーランの教えに反するとして憤った王族に暗殺されたことがあるという。サウジアラビア国籍を取得するためには、イスラム教への改宗が義務付けられていることからも、全国民にとってイスラム教が絶対の存在であるとわかる。

 一方で、世界最大の産油国という土地柄もあってか、「国内のあらゆる場所で、地面にポンプを突き刺せば原油が湧いて出る」と噂されるほどだ。そんなオイルの恩恵を受けて、ベンツなどの高級車であっても、ガソリンがカラになると砂漠に乗り捨てるようなセレブや王族が多くいる。そして砂漠に捨てられた自動車を「地面から湧き出したオイルを給油して乗って帰った」と語る国民の言葉が、噂に信憑性を持たせている。

 このような社会的環境も後押ししているのであろう。サウジアラビアの若者の間では、自動車が一大エンタテインメントとなっており、「暴走族」「走り屋」といわれる日本の若者のように、ハイウェイを含む公道でドリフト走行などの曲乗りを競うゲームに興じている。イスラム教の戒律が厳しいことで、娯楽自体が少ないことも影響しているようだ。

 ドリフト走行がはやっているサウジアラビアだが、さらに技を磨くドライバーも現れた。片輪走行しながら、浮いているタイヤを交換してしまう荒技だ。淡々とこのような曲芸運転を披露するのは、娯楽というよりも職人的な技を追求しているようにすら見える。


『Saudi 4×4 on 2 wheels gets tyre change while moving』(「YouTube」より)
動画URL http://youtu.be/tnYuMqkF5K8

数回の路上教習のみで免許を取得

 ドリフト走行や片輪走行を楽しんでいるサウジアラビアの若者たちだが、実は運転免許はとても簡単に取得できる。座学は不要で、数回の路上教習を受けるだけでよいという。つまり、運転技術さえあれば運転マナーは皆無でもよいといえ、事実、標識の意味すら知らないドライバーも多い。その結果、注目を浴びたいあまりにドリフト走行や曲芸運転を披露する人物が出てくるのは、ある意味致し方ないともいえる。

 ちなみに、人口10万人当たりの人身事故発生件数は世界各国の中で断トツとなっている。つまりドリフトや片輪走行の動画は、命を軽視する若者が多い実情を映し出しているとも考えられる。

 米国のシェール革命に対抗心から減産を拒否し、原油相場の覇権を争う姿勢を明確にしたサウジアラビア。一方、国内ではワガママなセレブたちが我が世の春を謳歌し、若者たちは命を顧みることなく曲芸運転に興じる。このような現実を見ると、オイルマネーがサウジアラビアにもたらす春はいつまで続くのだろうか、との懸念が頭をよぎる。

 サウジアラビアは、日本のエネルギー事情の一角を担う重要な国だ。今回紹介したドリフトや片輪走行などの動画が、単に“面白動画”として見るだけではなく、その裏にある国内事情にも目を向けるきっかけになることを願う。
(文=大坪和博/PLAN G 代表)

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