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公立学校の廃校が止まらない…過去12年で約6千校、校舎は麻雀ルームや高齢者施設に転用

鷲尾香一/ジャーナリスト
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公立学校の廃校が止まらない…過去12年で約6千校、校舎は麻雀ルームや高齢者施設に転用の画像1「Thinkstock」より
 筆者はすでに子育てを終え、子どもたちは独立しているので、「子どもをあまり見なくなった」という感覚はあったものの、少子化の実態についての認識は薄かったのかもしれない。ところが、先ごろ文部科学省が発表した「廃校施設活用状況実態調査」の結果を見て、驚きを隠せなかった。

 2013年度に廃校になった公立学校数は482校で、その内訳は小学校346校、中学校104校、高等学校32校となっている。02年度からの12年間で5801校(小3788校、中1089校、高924校)が廃校になっている。

 同期間の廃校数を都道府県別に見た場合、最も廃校数が多いのは北海道の597校
(小403校、中130校、高64校)で、ワースト2の東京都245校(小107校、中69校、高69校)の2.4倍となっている。以下、ワースト5までは岩手県233校(小148校、中55校、高30校)、熊本県232校(小177校、中44校、高11校)、新潟県201校(小144校、中24校、高33校)の順となっている。

 ちなみに、廃校数の少ない都道府県では滋賀県が同期間で19校(小15校、中3校、高1校)と圧倒的に少ない。次いで、福井県30校(小23校、中5校、高2校)、沖縄県43校(小19校、中20校、高4校)となっている。

 東京都は都心を中心にオフィス化が進み、定住者が減少したことで廃校が進んだことは明らかだ。一方で、地方では廃校数が多い北海道、岩手、熊本、新潟などと、廃校数の少ない滋賀、福井などの間に、少子化率に大きな差は見られない。廃校数の差は、従前県内にあった学校数によるところが大きい。ただ、沖縄の場合には都道府県で最も少子化が進んでおらず、人口の自然増(子どもが生まれて人口が増加する)が全国トップなことが理由といえそうだ。

●廃校舎の再利用

 先日、テレビ番組の中で、少子高齢化が進んでいる東京都下の多摩ニュータウンの小学校が廃校になり、地域の老人会が理科室を麻雀ルームとして利用して、楽しんでいる姿が映し出されていたが、廃校になった校舎や施設はどのように活用されている事例が多いのだろうか?

 廃校になった5801校のうち、施設が残っているのは5100校(87.9%)に上り、活用されているのは3587校。最も多い活用例は、再び学校として利用するもので1379校、次いで社会体育施設が856校、社会教育施設・文化施設が623校、福祉施設・医療施設が375校の順となっている。近年では高齢化の影響から、福祉施設・医療施設への転用が増加しているようだ。

 一方で、1513校が活用されずに、学校施設がそのまま残った状態となっている。このうち1081校は、活用の用途すら決まっていない状態。活用用途が決まらない理由としては、「地域などから要望がない」が512校、「施設が老朽化している」が383校と多い。今後、少子高齢化はますます進んでいくことになる。増加の一途をたどる廃校施設の利用については、資産の有効活用、地域の活性化などさまざまな面からも重要な課題となるだろう。

 私事となるが、筆者の出身地である秋田県は同期間の廃校数155校(小115校、中23校、高17校)でワースト11位。この調査結果を知り、母校の状況を確認したところ廃校となっていた。幼い頃の親しき友を亡くした感覚にも似た、なんとも切ない思いがした。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

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