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【鉄道安全レポート】人身事故概況(11月)

駅ホームの非常ボタン、押したらどうなる?12月、酔客原因で鉄道事故急増

文=佐藤裕一/回答する記者団
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 また、ホームを歩行中に接触し、引きずられて死亡する事故も起きている。11年12月30日午前6時50分ごろ、東京地下鉄(東京メトロ)東西線の飯田橋駅で、ホームを歩いていた40代の男性酔客が誤って列車に接触、車両とホームの間に両足が挟まったまま引きずられ、搬送先の病院で死亡する事故が起きた。事故が発生したのは朝だが、この日は年末の日曜日。忘年会からの帰りだったのだろう。

 周囲に迷惑をかけないよう配慮した結果と思われる事故も起きている。10年12月19日午後10時ごろ、JR東日本横須賀線の新川崎駅で、飲酒後の30代の男性が嘔吐しようとホームから線路側に身を乗り出したところ、入線してきた通過列車に接触して死亡した。

 どれも悲惨な事故だが、酒に飲まれていなければ無事に帰宅し、平和な新年を迎えていたに違いない。

●「吐いている人には列車の接近放送が聞こえていません」

 事故直前の危機的な状況に対して、居合わせた人はどうすればいいか。冒頭のJR東日本の社員は、次のように述べる。

「黄線の外側に立ち止まってふらふらしていて、あと1~2歩で線路に落ちてしまいそうな人を見かけたら、列車が来る来ないにかかわらず非常停止ボタンを押してください」

「それと、列車の接近放送が流れているときに線路に向かって吐いている人がいたら、非常ボタンを押してください。吐いている人には接近放送が聞こえていませんから」

「そのひとつの行動で、人の命を守ることができます」

 では、ボタンは押したものの、結果的に押す必要がなかったと後でわかったらどうなるか? 多数の乗客に迷惑をかけ、鉄道会社から注意を受けたりするのではないか? そんな不安も、このJR東日本社員はきっぱりと否定する。

「ボタンを押してくれた人を後悔させるようなことは、決してしません。みんな鉄道員なので、安全第一であることには変わりありません。鉄道会社として『危険を感じたら押してください』と言っているわけですから、その好意を否定するようなことはしません。事後のサポートもいたしますので、安心してください。万一、ボタンを押されずに人身事故につながったときは、多くのお客様に多大な迷惑をかけることになりますし、事故に遭った方は亡くなる可能性もあります。それによって、ボタン付近にいたお客様が『あのとき押せばよかった』と後悔することになっても不本意です」

●決して線路には降りず、非常ボタンを押して

 ホームに落ちた人を助けようと思っても、二次災害を防ぐために、列車が進入しているときは無理に助けず、線路にも絶対に降りないでほしいという。

「もし列車の接近放送が流れていたら、泥酔されているお客様に対して『危ないですよ、電車が来ますよ』と声をかけて、その方と一緒に黄線の内側まで下がっていただくのが何より大切です」

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