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ベネッセ、大リストラは失敗する?深刻な会員減、人材流出懸念、無料&高品質の競合台頭

文=大坪和博/PLAN G 代表
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●無料教育コンテンツとの競合

 進研ゼミをはじめとした通信講座のウリの1つは、受講料が予備校や塾と比べて安いことだ。また、都心部に集中している予備校や塾に通学することが困難な地方の学生にとっては、優良な教育コンテンツが郵送されてくることも強みといえよう。

 しかし、ここに風穴を開ける存在が現れた。1つはインターネットによる教材配信だ。これによって、テキストを郵送する必要性がなくなった。さらに大きいのは、講義風景を動画で配信できるようになったことだ。それも専用のソフトや回線を必要としないで、パソコンやスマートフォンで視聴できるような環境が整ってきたことも大きい。このような環境変化の中で、無料や格安の教育コンテンツを提供する業者も増えている。

 特にマスコミなどで盛んに取り上げられている、現役東大生が運営している特定非営利活動法人manaveeは注目だ。manaveeは、花房孟胤代表が日本の大学受験における地理的・経済的な格差をなくし教育の機会均等を実現するために、無料の教育コンテンツをインターネット上に流通させようと始めた団体だ。すでに、9000本余りの講義を動画で配信している。運営はすべて寄付金で賄われており、多くの大学生がボランティアとして参加している。講師は主に難関大学に在学中の大学生だ。大学のサークル活動のようなノリも感じられるが、講義は学生たちが受験勉強で学んだ難解問題の解法や定理など、予備校や塾の講義に勝るとも劣らない内容だ。

 昨今の大学生の就職活動では、面接の中で社会貢献活動やボランティア活動の有無を質問されることも多いといわれるが、その1つとしてもmanaveeのスキームは、企業側が注目するに違いない。無料講座の動画配信サービスは、今後も普及していくだろう。

 またリクルートが運営しているインターネット予備校「受験サプリ」は、大学入試の過去問題、センター試験の模擬試験、センター試験問題集、暗記カードなどが無料で提供される上に、月額980円で予備校さながらのプロ講師の全教科・全講座の授業を見ることができる。しかもPDF版のテキストをダウンロードすることもできる。受験サプリのホームページでは、国公立大学や難関私立大学に合格した受験生の合格体験インタビューが掲載されている。

 これらのように無料や低価格の動画配信サービスが普及している昨今、ベネッセが通信教育をエリアベネッセと形態を変えて事業運営したとしても、価格的な競争力はもちろん、コンテンツ自体の競争力でも、かなり厳しい状況に置かれているといえよう。

●学校教育主体への転換?

 さらに、この状況に追い打ちをかけるのは、大学入試改革だ。「高大接続特別部会」での答申案の中では、大学入試センター試験を廃止し、「大学入学希望者学力評価テスト」を導入することが提案されている。これは基本的な生徒の学習改善に役立て、教育の質の確保・向上を図る「高等学校基礎学力テスト(仮称)」とともに1回限りのセンター試験や各大学の入学試験での1点刻みの選抜テストのようにではなく、数回に分けて実施する。成績は段階別表示で、その結果は大学側にも提供される。

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