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アジア中で沸騰する日本旅行熱 外国人客争奪戦激化、早くも勝敗鮮明に

文=栗田シメイ/ライター
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●旅行バブルの台湾で人気が高い日本

 11月7~10日に、台湾で世界各国の旅行会社、自治体、航空会社などが一堂に集まる「台北國際旅展」が行われた。同イベントは、4日間で35万人超を動員するアジア有数の旅行博だ。広々とした会場を見渡すと、日本ブースの人だかりは際立っていた。東京、大阪、北海道など、旅行者に人気の高いエリアはもちろん、山陽、東北、九州、北陸などの各地方からも個別に出展。特に奈良県は、日本から知事も視察に訪れる熱の入りようだった。また、海鮮料理専門店のかに本家や、総合リゾート運営会社の星野リゾートなど、企業単体での出展も見受けられた。台湾人旅行客の誘致に対する日本の力の入れようは、旅行会社、航空会社、政府の3セットの出展が大半の他国に比べて、明らかに異なっていた。

「現在の台湾は旅行バブルの真っただ中で、特に人気の高いのが日本です。理由は、さまざまなニーズに応えることが可能な観光資源の豊富さと、リピート率の高さです。例えば、台湾で人気のある徳川家康・武田信玄の軌跡を巡るツアーやアニメの関連地を巡るツアー、紅葉・桜を巡るツアー、伝統工芸の体験ツアーなど、その数を正確に把握するのが困難なほどバリエーションがあります。初めは東京をはじめとする関東エリア、次に関西、3度目に北海道や沖縄、4回目は広島や岡山、和歌山、福岡、熊本、鹿児島と、何度も訪日する人が本当に多いです。台湾人の日本旅行への関心の底はまだまだ見えておらず、しばらく旅行者は増え続けるでしょう」(台湾の大手旅行会社)

●新興国からの旅行客急増

 訪日旅行客が堅調に伸びている台湾、香港だけではなく、タイ、マレーシア、ベトナムといった新興国の勢いも見逃せない。新興国の訪日数を見てみると、タイは10月単月の前年同月比が29.5%増の7万9400人、マレーシアは35.1%増の2万4000人、ベトナムは34.6%増の1万5200人と爆発的に増えている。単月で26万人を超える台湾と比較すると、絶対数は少ないが、今後さらに伸び続けると予測されている。

「大阪の繁華街の状況でいうと、台湾・香港・中国本土・韓国のお客様への対応はできて当然という認識があります。英語、韓国語、繁体字、簡体字のメニュー、商品説明のPOPの設置や語学力のある外国人スタッフの登用など、環境面の整備はどんどん進んでいます。また、既存国に加えて、東南アジアの国の方々の需要が増えてきています。宗教の違いなど、対応の難しい部分もありますが、動きの早い企業はすでに東南アジア各国のリサーチを進め、サービスを調整しています」(国内大手旅行会社)

 外国人観光客向けインフラの整備は、旅行者にとっては歓迎すべき動きであるが、一方ではサービスの画一化といった弊害も生み出しているようだ。

「旅行者からは、『日本ならではの接客や文化に触れたい』という要望をよく聞きます。昨今は、多くの国の旅行者へ対応することを重視するあまり、接客をマニュアル化している店舗や量販店も増え、サービスが均一化している感もあります。東京では、ロボットが接客するお店などユニークな試みを行っている企業もあり、人気が高いようです。増え続ける訪日客を取り込みながら、どのように独自色を出していくかが、成否の分かれ目となるでしょう」(同)

 今や関西の経済において、外国人観光客の存在は無視することができないほど大きくなった。インバウンド事業(国内に入ってくる旅行者へのアプローチ)に注力する企業は、ここ数年増加の一途をたどっている。数多の企業の中で“勝ち組”となるには、サービスの向上は当然のこと、自社ならではの試みを実行し、いかに他社との差別化を図れるかがポイントとなりそうだ。
(文=栗田シメイ/ライター)

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